「パンがなければケーキを食べればいい」──マリー・アントワネットの冷徹すぎる発言の真実
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
マリー・アントワネットが後のフランス国王・ルイ16世と結婚した日
253年前(1770年)の今日、当時のオーストリアを統べていた名門・ハプスブルク家出身の齢わずか14の少女が、婚姻によりフランス王宮入りをはたしました。
少女の名は──マリー・アントワネット。
結婚相手である皇太子(後のルイ16世)の即位により、若くしてフランス王妃という絶対的な権威を得た彼女。
のちに起こる、厳しい階級社会や圧政に反発した市民の抵抗運動(フランス革命/フランス革命戦争)によって、“赤字夫人”と呼ばれるほどの度を超えた放蕩ぶりや国への叛逆の疑いをはじめとする政治的な理由からギロチン刑に処されたマリー・アントワネットに関しては、真偽を問わず、さまざまな逸話が残されています。
そのなかでも、多くの人が耳にしたことのあるだろう、この台詞。
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」
たびたび繰り返される増税などにより、日々の糧さえも得られないほど困窮するフランス市民に彼女が放ったとされるこの言葉。
......ですが、のちの歴史研究により、これはマリー・アントワネットの発した台詞ではないということが定説になっているのをご存知ですか?
現在も語り継がれる「パンが〜」の出所はフランスの哲学者であるジャン=ジャック・ルソーの著書の一節がもとになっているとされ、そもそも当該の一冊『告白』が出版されたのは、マリー・アントワネットが王宮入りする前年の1769年......つまり、時系列的にも成立しえないものなのだとか。
件の冷徹な発言の主がマリー・アントワネットだとまことしやかに語られてきた背景には、さまざまな政治的、文化的な理由があったといわれています。
時代が大きく移り変わろうとする瞬間に“フェイクニュース”が出回るのは、今も昔も世の常。真実と虚偽を見極める目を養っていきましょう。