「呉服」は「服(ふく)」じゃない!......って、どういうこと?
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
呉服の日
今日5月29日は、「日本記念日協会」によって登録認定されている「呉服の日」です。
和装業界の発展と、より多くの人に和装の素晴らしさを知ってもらおうと業界団体が申請。ご想像の通り「5(ご)」「2(ふ)」「9(く)」の語呂合わせにちなんで設けられた記念日です。
ちなみに、約半年後の11月15日は「きものの日」とされているのですが......さて、「着物」と「呉服」の違い、知っていますか?
まずは「着物」について。着物をおおまかに定義づけするならば、裾が足首まである“長着”を“帯”で締めて固定するものとなります。今、おそらく多くの人が頭のなかで思い浮かべているもので、きっと正解です。
では「呉服」とは?
「色の違い?」「使っている素材?」「製法かな?」......いえ、すべて不正解です。
そもそも呉服とは「服(ふく)」ではありません。
「......え?どういうこと?」。その反応、わかります。混乱している方もいるはずなので、順を追って説明します。
まず、呉服の「呉」は、三国時代の中国の王朝・呉のこと。つまり呉服は、弥生時代のなかごろに呉の国から日本に渡ってきたものという意味です。
そして、キモとなるのが「服」という漢字。じつはこの漢字には、元来“衣類”という意味は与えられておらず、「はたおり(機織り)」から転じて「はとり」と読まれ、そもそもは“生地”を指す言葉だったのだとか。
つまり「呉服」とは「呉から渡来した生地」という意味になり、着物になる前の段階のもの(≒反物)ということなのです。
とはいえ、現在ではほぼ同義で扱われる「着物」と「呉服」。
今年は、ここ数年中止を余儀なくされていた夏の風物詩・花火大会がちらほら再開されるなんてニュースも。
和装でめかしこんで、大輪の花火を見上げる──。そんなエモい夏の思い出を作ってみてはいかがでしょうか?