世界一高い山は「エベレストだけ」ではなかった

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

チンポラソデー
(CHIMBORAZO DAY)

標高8848m——。

ネパールとチベットにまたがるヒマラヤ山脈の最高峰といえば、エベレスト(チョモランマ)。世界でもっとも高い山、と学校でも習ってきたはず。

けれど、このエベレストよりも“高い”山が存在することをご存知でしょうか?

南米エクアドルのほぼ中央に位置するアンデス山脈の「チンポラソ」です。初めて耳にする人も多いことでしょう。

前述のとおり、エベレストの標高は8848m
これに対しチンポラソは、標高6268m

おいおい、2500m以上低いじゃないかって? そうです。地図上の「標高」では、エベレストの方がはるかに高い。でも、「地球の中心からの距離」で比較するとこうなります。

エベレスト:6382.3km
チンポラソ:6384.4km

チンポラソの方がおよそ2100mばかり離れている計算に。つまりは、山頂が地球の中心からもっとも離れている山という基準で考えれば、チンポラソに軍配が上がることになるわけです。

その理由は、「緯度」にあります。

海抜高度でみた場合、最高峰となるエベレストの緯度は北緯28度。いっぽう赤道直下のチンポラソは南緯1度。

じつは、「地球は丸いもの」と思われていますが、実際には完全な球体ではなく、やや楕円の形をしているんだそう。国際天文学連合(IAU)の値を参考にすれば、赤道半径 =6378.137km、極半径=6356.752kmと、赤道半径の方が極軸半径よりも大きい。

そのため、地球の半径がもっとも広いほぼ赤道直下に位置するチンポラソとエベレストには、2100mという距離差が生じるというわけ。

と、いうわけで地球の中心からもっとも離れた場所に位置する山という観点でみると、最高峰はチンポラソとなります。

それでも、2020年に実施されたエベレストの計測調査で、これまでより4mも高くなっていたことが判明。これは地殻プレート変動などによる影響だそうですが、未知なるスピードで山が成長していることが示されています。

いつの日にか、エベレストが正真正銘の世界最高峰となる日が来るかも知れませんね。

そうそう、海抜高度ではなく、もしも海底からの距離で測ったならば、その距離1万203mでもっとも高い山はハワイ島のマウナ・ケア(標高4205m)になるんですって。

ああ、ややこしい……。

Top image: © Giuseppe Flandoli/Shutterstock.com
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。