ドイツ・ハーメルンで起きた『グリム童話』のもととなった不可思議な事件
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
『ハーメルンの笛吹き男』のもととなった事件が起きたとされる日
数ある童話作品のシリーズのなかでも、登場するキャラクターのかわいらしさやユーモラスさ、そして随所に散りばめられた“毒”が子どもだけでなく大人にも高い支持を受ける「グリム童話」。
兄・ヤーコブ、弟・ヴィルヘルムの兄弟が、ドイツをはじめとする国や地域で言い伝えられる昔話を編纂した童話集のなかでも、その奇怪にして奇妙な内容が特徴的な『ハーメルンの笛吹き男』という物語を知っていますか?
物語のあらすじは......
ドイツのニーダーザクセン州ハーメルンでは、大繁殖したネズミによって農作物などが食い荒らされ、人々は困窮状態に陥っていた。
そこに「報酬をくれるなら、ネズミを一匹残らず退治する」とひとりの男が現れる。
藁にもすがる思いで住民たちがネズミ退治を依頼すると、男は荷物のなかから一管の笛を取り出しておもむろに吹きはじめた。すると、街中の家々や路地から無数のネズミたちが男のもとに......。男が笛を吹きながら歩きはじめると、ネズミはその音に導かれるように男の後に続く。
男は、街を流れるヴェーザー川のほとりで歩を止めた。鳴り続ける笛の音。その音に乗り、まるで踊るように川へと飛び込んでいくネズミたち。
人々を悩ませたネズミは、一匹残らず街から姿を消した。
約束を果たし、見返りを求める笛吹きの男。しかし、住民たちは貧困生活のなか報酬を用意することができず、支払いを拒否。約束を反故にした住民たちにうらめしそうな眼差しを向け、男は街を去っていった。
数日後、ハーメルンに再びやってきた笛吹きの男。男は大通りにたたずみ、笛を吹きはじめる。1人、2人、3人......。男のもとに、街の子どもたちが集まりはじめる。そして集まった数、130人。
街の外に向かって歩き出す男の後に続く、130人の子どもたち。
そして、笛の音とともに去っていって男と子どもたちは、ハーメルンの街に二度と戻ることはなかった──。
......というもの。
まるで“神隠し”のようなお話ですが、物語の舞台となったハーメルンでは、1284年の今日6月26日に「130人の子どもが一斉に行方不明になる事件」が実際に発生したといわれています。
事の詳細は歴史研究家などの間でも議論が続いており明らかになっていませんが、笛吹き男の存在はさておき、現在も語り継がれる寓話や童話のなかにも多くの“事実”が隠されているのかもしれませんね。