JR上野駅のホームに現れた「オノマトペ」は、地域のダイバーシティ実現への第一歩
「ガタンゴトン!ガタンゴトン!」。
自然界や日常にあふれる音や声を言葉で表した「オノマトペ」。それがダイバーシティへの一歩となるかもしれない。
6月15日より、JR上野駅の1・2番線ホームで実証実験がスタートした「エキマトペ」という装置がある。
これは、ホームに流れるアナウンスや電車の発着音、ドアの開閉といった音からの情報を、文字や手話で視覚的に表現するための装置。
普段、我々がホームで耳にするあらゆる音をマイクで集音し、AI分析によりリアルタイムで擬態語や擬音語のオノマトペに、さらには文字や手話へと変換して、専用ディスプレイにて表示するという仕組み。ホームに設置された自動販売機の上部にディスプレイされる。
一連のシステムは「富士通株式会社」と「東日本旅客鉄道株式会社」をふくむ4社が協力して開発。もちろん背景にあるのは、聴覚に障害のある人たちに向け、より安心安全な鉄道利用の実現を目指してのもの。
だが、同時に毎日の通勤通学で利用する多くの人たちにとっても、単なる移動手段、目的地までの経由点というだけでなく、鉄道利用を楽しんでもらおうという試みでもあるようだ。
©富士通株式会社
©富士通株式会社
じつはこのエキマトペ、昨年7月に川崎市のろう学校で開催された「未来の通学」をテーマにしたワークショップがきっかけとなって生まれたものだそう。
アナウンスや電車の接近音、ともするとノイズに思えてしまう騒音が、オノマトペとして視覚化されることにより、必要な人たちへと届き、視覚的な楽しさをも与えてくれる。
地域のダイバーシティ、そしてインクルーシブ社会の実現に向け、オノマトペがその橋渡し役となってくれることを期待しよう。
Top image: © JR-Cross