ホモ・サピエンス誕生の「通説」が崩れるかも!?

南アフリカ共和国の「スタークフォンテン洞窟」は、“人類の祖先”とされるアウストラロピテクス・アフリカヌスの化石が多く出土することから「人類のゆりかご」として知られる。

その人類の祖先が改められるかもしれない。

今年6月、『米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)』に掲載された内容によれば、スタークフォンテンの化石に宇宙線照射を行なった国際研究チームによって、ある事実が浮かび上がった。

それは「ルーシー」でおなじみ、東アフリカのアウストラロピテクス・アファレンシスと同時期(370万年前)のものであるということ。研究者らは、アファレンシスの子孫がアフリカヌスであるという従来の通説の限界を示すものだと述べている。

ちなみに宇宙線照射とは、化石を宇宙線にさらすことで生成する放射性核種を用いて年代測定を行うもの。

さて、この2つの種が同時期に存在していたとなると、人類進化の初期段階において通説より複雑な進化系があったはずだ。

また、地層の順序が非常に複雑な南アフリカのカルスト地形を伴う洞窟の正確な年代測定は、より丁寧に分析することが重要であることを示す研究結果となった。

ホモ・サピエンスの祖先に関する研究は、近年も繰り返し新たな説を検討する成果が出ており、現代の技術をもってしてもまだまだ未知の領域が広がっていると言えよう。

Top image: © iStock.com/Man_Half-tube
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