「どんぐり」を持ち帰ったら気をつけたいこと【娘のぷぜれんと】

「おとう、はい、これ、ぷぜれんと」

2歳半の娘は、公園や散歩、保育園の行き帰りの道すがらで拾ったいろいろなものプレゼントしてくれます。それも、ほぼ毎日。

石っころ、葉っぱ、猫じゃらしに鳥の羽根、木の枝──。

にこにこしながらそれらを握りしめた小さな手を「はい、どうぞ」と突き出されて、無下にできるはずなどありません。もちろん「わぁ!ありがとう。かわいいね、これ」と受け取ります。そして、ほっぺたをすりすりと撫でます。

喜ばれたことに満足して『となりのトトロ』の主題歌『さんぽ』を歌う彼女を眺めながら、受け取ったプレゼントは靴箱のうえに据えられた、スチール製の飾り皿のなかへ。

そんな彼女からの定番プレゼントのひとつが「どんぐり」なのですが......ん?

©2022 NEW STANDARD

数ヵ月前、娘から受け取ったときにはなかった“穴”が、ぽこぽこと。

ふと、数日前の出来事を思い出しました──。

玄関で靴を履こうとしている妻の口から「わっ」と小さな悲鳴。見ると、玄関の土間で体長20mmほどの、いわゆるイモムシがもぞもぞしています。

住んでいるマンションの構造上、うちの玄関先にはさまざまな“訪問者”がやってきます。チョウにトンボ、カナブン、カメムシ、テントウムシ、カミキリ。そのどれもが羽根が生えていて、飛ぶことのできるものばかり。

「何かの幼虫だとは思うんだけど、なんでこんなところに?」

そのときは朝の繁忙時だったこともあり、深く考えることもなく、ほうきとちりとりで屋外へと移送したのですが......なるほど、出所はどんぐりだったわけです。

調べてみると、どんぐりのなかで孵化するのは主にゾウムシと呼ばれる甲虫の一種なのだとか。名前の通り、ゾウの鼻ような長い頭部をもつユニークのフォルムの昆虫なのですが、読者の方のなかには虫嫌いの方も少なくないと思うので、画像を貼るのは控えておきます。

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「どんぐり、お友だちがいっぱいいるところに連れてってあげようか」

どんぐりに穴を発見した日の週末、さらなるイモムシの発生を避けるべく、そんな理由をつけて娘と近所の公園へ。

「ここなら、おともだちいるから、さびしくないもんね」

そういって、公園の広場の真ん中にそびえ立つコナラの木の根本に穴の開いたどんぐりを置き、枯葉の布団をかけてあげた娘と手をつないで自宅に帰る自分のズボンのポケットは、新たにもらったプレゼントのどんぐりでぱんぱんでしたとさ。

おしまい。

「おやつなトピック」って?

Z世代のインターンから、この道うん十年のベテラン編集者まで、TABI LABO“ナカの人”がリレー形式で担当するコラムです。

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おやつなトピック
甘いものに手を伸ばす代わりに
小腹を満たすコラムはいかが?

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Top image: © SHUHEI KOBAYASHI, 2022 NEW STANDARD
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。