史上最高にクリエイティブでコスパのいいアソビ

拝啓、田中偉一郎さま。

正月の真っ只中に失礼いたします。

新しい年を迎え、まだ2日ではございますが、どうやら今年も止められそうにありません。

なにがって?

ストリート・デストロイヤーごっこ」です。

©2022 NEW STANDARD
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路上のひび割れやブロック割れを使ってポーズを取り、あたかも自分の打撃によって破壊したかのように見せ、それを写真におさめる

こんなにも、クリエイティブでコスパのいい遊びがほかにあるでしょうか?

路上のダメージを見つけては、角度を決めてスマホを構えて、パシャリ。あなたさまが生み出してくれた「ストリート・デストロイヤー」で、容量の数パーセントが埋められたデストロイヤーな写真をつまみに飲むお酒がたまりません。

週末の外出時にパシャリ、旅先でパシャリ、もちろん初詣ついでにもパシャリ……。

目を凝らせば、世の中はヒビや割れ目で溢れています。これを道路整備工事が追いついていないと不満をもらすのか、クリエイティブの原資と捉えるかでは大きな違い。

今日も今日とて、ストリート・デストロイヤーごっこなわけであります。

ご存知ない方のために、軽くご説明をすると放送開始以来、長きに渡って子どもたちを(のみならず大人も)“シャキーン!”と目覚めさせてきたNHK Eテレの人気番組『シャキーン!』の1コーナーに存在したのが、美術家でクリエイティブ・ディレクターでもある田中偉一郎さまが展開する「ストリート・デストロイヤー」。

ちなみに、こちらが本家。

© 田中偉一郎 / Twitter
© 田中偉一郎 / Twitter

的確にひび割れを捉える拳。そこへと力が一直線に向かう構え、腰のポジション。ため息が出るほど美しい……。もはや“型”を通り越して、“道”。

人間の美しさや力強さを表現したというならば、それこそダビデ像に軍配が上がるかもしれない。けれど、そこにユーモアとクリエイションを掛け合わせたストリート・デストロイヤーは、もはや現代における美学的思想の象徴。とは、いささか言い過ぎでしょうか。

こう仰る田中偉一郎さま。

一見、意味のないものに“意味ありげ”な世界を生み出す。古い価値基準が音を立てて崩れゆくこの時代、無意味なことにも、なぜだか新たな価値を見つけようとしてしまう。

でも、きっとそんなことすらどうでもいいのでしょう。

 

いつもの街角を笑えるアートに! ひびを見つけてポーズを決めれば君もストリートデストロイヤーだ!

 

この遊びを知ってしまうと、ふと目にした足元のひびや割れを素通りできない。ただ、それだけのことなのですから。

「おやつなトピック」って?

Z世代のインターンから、この道うん十年のベテラン編集者まで、TABI LABO“ナカの人”がリレー形式で担当するコラムです。

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おやつなトピック
甘いものに手を伸ばす代わりに
小腹を満たすコラムはいかが?

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Top image: © SHUHEI KOBAYASHI, 2023 NEW STANDARD
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。