月にある「2700億トンの水」の所在、ついに明らかに
人類の月への移住が、また一歩現実に近づいたかもしれない。
「Nature Geoscience」誌に掲載された論文によると、衛星の内部に「貯水池」が発見されたらしい。
中国の月面探査船「嫦娥5号」が持ち帰った土壌の中から、水を含んだガラスビーズを発見。これは月の貯水池のものと考えられており、月面の水循環に重要な役割を果たすものだという。
この発見は月そのものの理解を進めると同時に、月面に広がる大量の水によって、人類が生存に必要な量を調達できる可能性を示唆するもの。
というのも、既に月面に水分が含まれることは論じられていたものの、どのような挙動で循環しているかは不明な点が多く、土壌内に貯蔵される空間が存在していると考えられてきた。
土壌の調査ではこれを説明することが難しかったものの、今回のガラスビーズの発見により「貯水池はガラスビーズである」可能性が浮上。現状の説の中では最有力であるようだ。
調査によると、この貯水池には2700億トンもの水が蓄えられている可能性があるそう。
多くの企業が月面に人間の居住地を建設することを計画しているなか、それを後押しする成果と言える。特にNASAのような宇宙機関にとっては、火星調査の拠点基地にできるため有用と言えよう。
ただし、本気で住み込むつもりなら、水やその他の資源を「持続可能な方法」で収集する手段を講じる必要がある。周りの惑星が全滅しないよう、これが確立されてから旅立てるようになることを願いたい。
Reference: A solar wind-derived water reservoir on the Moon hosted by impact glass beads/nature geoscience
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