意外にも、人類は「地球」についてまだまだ理解していない

火星銀河など、宇宙についての研究がこれだけ進んでいるいま、もはや「地球」について知らないことなどほとんど無いと思う人が多いだろう。

しかし、意外にも我々が地球について分かっていないことは多く、その代表が「内核」についてだ。

我々が活動する地表から5000キロほど離れた内部には、高温の鉄などで構成された「内核」と呼ばれる中心部がある。ここは地表とは別個に動いており、どのような理論に基づいて動いているのかは長年の研究対象となっている。

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そして先月、英科学誌『ネイチャージオサイエンス』にて、「地球の内核が地表よりも遅く回転している可能性」を示唆する論文が掲載された。

北京大学の研究チームによると、内核が一周する周期はおよそ70年であり、次に周期が変わるのは2040年頃だという。内核は1970年代に地表よりも少し早く回転するようになったものの徐々に鈍化し、現在は地表より遅い周期になっている、と説明している。

チームは、過去60年間に地球内部で発生した地震波を分析。この波が地球の中心を通ることで生じる差異を測定することで周期を解析したそう。

権威ある科学誌に掲載されただけに信憑性がありそうだが、この論文には各国から懐疑的な意見も出ている模様。

例えば、この研究を「優秀な学者による慎重な研究」としたうえで、「すべてのデータを説明する数学モデルとしては不十分」と語るのは、南カリフォルニア大学の地震学者であるジョン・ビデール氏。

かつて同氏は「内核の速度変化周期は約6年」とする研究結果を発表しており、周期を「およそ70年」とする今回の結果とは大きく異なる見解を示している。

また、オーストラリア国立大学からは「内核の速度変化周期は2〜30年」とする結果、さらには「2013年以降、内核は静止している」や「逆回転している」とする説すら発表されている。

このように、地球の内核については分かっていないどころか、意見の方向性すら大きく分かれているのが現状。

人類が数字で宇宙を把握しようと科学に没頭して500年ほど経つが、これだけの技術を以っても地球についてすら理解が及ばないほど、自然とは広大だということ。

森羅万象を数字が支配するのは、まだまだ先のようだ。

Top image: © NASA
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