ニーナ・クラヴィッツが廻る日本の都。

世界中の名門フェスからナイトクラブを駆け巡り、人々を熱狂へと導くDJ/プロデューサーのニーナ・クラヴィッツは、しばしば「テクノ・ミューズ」と形容されることがある。だが、それはクラウドからではなく、業界関係者から発せられた言葉に違いない。

欧州では、EDMブームからテクノブームへと流れが変わり始めているというが、ニーナは、そんな昨今のテクノムーブメントを文字通り牽引し、自身の運営するレーベル「трип」からの楽曲を通して、現行のシーンを創り上げてきた功労者だ。

そして、男性優位とされているDJの世界において、トップティアに君臨し続けている数少ない実力ある女性DJであり、幅広いサウンドを持つプロデューサー/アーティストでもある。

そんな彼女だが、実はキャリアの初期から日本との深い繋がりがある。彼女が高知や旭川などへと地方ツアーに回っていたことを知る人は、少ないのではないだろうか。

今回は、今となってはDJであれば誰もが憧れる彼女に、幸運にもインタビューの時間を頂くことができた。日本橋にある落ち着きのある隠れ家「水戯庵」にて、短い時間の中で、今回の来日の思い出から日本との繋がり、アーティストライフとの向き合い方について、語ってもらった。

ニーナ・クラヴィッツは、今夏も6月3日(土)に川崎で開催されるビーチフェスティバル『ACiD presents THE BEACH 2023』のために来日予定!こちらも併せてチェックを!

 

——今回の来日では、渋谷「Womb」、京都「Metro」、大阪「Joule」を回られていましたね。京都を観光している様子もSNSを通して見てました!桜の咲いた京の町はどうでした?

 

私は日本の伝統文化がとても好きなので、本当に京都が大好きです。東京は全体的にとてもモダンな雰囲気ですよね。とても大都市です。

京都は小さな都市ではありませんが、とても静かで独特の雰囲気があります。

いつも桜が咲く時期に日本に来たいと思っていました!桜のシーズンに訪れたのは今回が初めてで、とても特別な思い出になりました。桜の咲く京都の町、これほど美しい景色を見たことがありません。

 

——今回はお母様と一緒に来日されていましたね。お母様と、一緒にカラオケに行っている様子も見ていましたよ!(笑)

 

実は、私の母親も日本の大ファンなので、日本に来るのは初めてではありません。京都は特別な場所なので、今回、母と一緒に日本に来ることを決めました。

はい(笑)カラオケにも行きました。とても楽しかったです。そして、たくさんの梅酒を飲みました。私も母親も日本の梅酒が大好きです。そして、たくさんの歌をみんなと歌いました。

とても日本的なアフターパーティの思い出ができましたね(笑)

 

——大阪ではどのような思い出ができましたか?

 

大阪「JOULE」でのショーは本当に素晴らしかったです。最終的にはロックコンサートのようなエネルギーを感じました。この動画を見てください。

完全に“ロックスター”になった気分でした。

© ninakraviz/Instagram
京都を満喫するNina Kravizと大阪JOULEでのパーティの様子。

 

——昨日は渋谷のストリーミングスタジオ「DOMMUNE」で配信をしていたDJセットも視聴していましたよ。素晴らしいセットでした!

 

「DOMMUNE」は、私にとって本当に大好きなストリーミング番組です。“宇川ちゃん”(DOMMUNEの主宰者、宇川直宏)のことを本当に愛しています。

 

——私は個人的に過去に「DOMMUNE」でインターンをしていたこともあって、宇川さんから色々学ばせてもらいました。彼に対して、特別な思いはありますか?

 

私にとっても宇川ちゃんは、素晴らしい文化的な先生です。恐らく多くの人にとっても同じでしょう。彼は日本という地を超えて、素晴らしい音楽や文化を世界へと発信してきました。

ご存知の通り、彼は「ストーリーミング・プラットフォーム」という世界的なトレンドにいち早く目をつけていた人物の1人です。私の知る限り、「BOILER ROOM」も「DOMMUNE」からインスピレーションを得ています。

もし宇川ちゃんがいなければ、多くの音楽家や芸術家を知らないままでした。とても聡明でエネルギーに溢れた人物です。

彼と知り合えたことを本当に光栄に思っています。

 

——少し話は逸れますが、あなたが毎度「DOMMUNE」でDJとして登壇する度に、「アルフォート」のチョコレートを食べながらDJをする姿を心待ちにしているファンが多いです。あの慣習はどのように始まったのでしょうか?

 

そうなんです(笑)アルフォートが本当に大好きで。そして、これは本当に恒例行事になっていますが、今でも良い伝統です。

実際、日本に来るときは多くのショーを行っていますが、時差ぼけに苦しんでいることが多いので、自分のテンションを維持するためにたくさんの砂糖が必要なんです。

 

——欧州のギグでも「アルフォート」を食べることがありますか?

 

アルフォートはヨーロッパでは買えないので、これは日本だけでのお楽しみです(笑)最近は抹茶バージョンが大好き。チョコレートとクッキーの組み合わせが最高ですよね!

ヨーロッパでのDJでも、夜に遊ぶときには簡単なエネルギーが必要です。その時には、チョコレートとコーヒー、そしてシャンパンを少し飲んだりします。

——最後に、あなたのライフスタイルについても伺いたいです。あなたのようなDJだと毎日の切り替えが大変だと思うんですが、意識しているルーティンやリフレッシュ方法などあったりしますか?

 

自分はDJであり、ミュージシャンであり、シンガーであり、レーベルオーナーでもあります。旅先でも音楽を作っています。残念ながら、人生から音楽を取り除くことはできません。

ただ、その中でルーティンは確かにあります。1人になりたい時は、スマホを置いて、散歩へ出かけます。散歩は、ストレスを軽減するとても美しい方法だと思っています。そして、何もしないということを意識的に行ったりもします。

 

——なるほど、“何もしないこと”ですね……。

 

あとは、普段の生活とはまったく関係のないことを始めたりもしますね。

どこか変わった場所へと出かけたり、新しい言語を学び始めたり、まったく関係がなくとも、あなたが知っていることと少し違うことを始めたりしてみてください。それは、あなたの思考を整理するのにとても役立ちます。

また旅行するたびに、少しずつ新しい言語を学ぼうともしていますよ!

 

——そうなのですね!今回も日本語を何か学びましたか?

 

「おいしいですか?、可愛いですか?、とても最高でした!」

まだ少ししかできないですけどね!(笑)

でも本当に、日本語の学習のために、いつか3週間の日本語教室コースを習いに来たいと思っています。

今回はDJとしての日本ツアーを終えて、数日間のオフデーで母親と共に日本を満喫したあと、欧州へと旅立ったニーナ・クラヴィッツだが、今夏、川崎で初開催されるビーチフェス『ACiD presents THE BEACH 2023』札幌、大阪公演のために再び来日することが決まっている。
 
川崎の湾岸エリアと、都内からのアクセス良好なビーチで開催される本フェスティバル。海外では、パリのエッフェル塔や中国の万里の長城など遺産級のロケーションでもDJしてきた彼女が、どのような音楽を披露するのか、今からとても楽しみだ!
 
『ACiD presents THE BEACH 2023』

【日時】2023年6月3日(土)11:00開場 / 12:00開演 / 21:00終演(予定)
【会場】東扇島東公園 かわさきの浜
【料金】1万2000円 U25早割 7700円
【出演】Nina Kraviz / CYK / Drunken Kong / Ground / Little Dead Girl / Million Dollar Sounds / Petar Dundov / Peter Van Hoesen [LIVE] / Raven / Satoshi Otsuki / yama’ / Yamarchy
【オフィシャルサイト】
©ACiD presents THE BEACH
Top image: © toshimura
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