通販で出回る偽装eバイクが「爆弾」として厳重警戒されている──FDNYから警告

NYで偽造認証のeバイクが流通。10件以上の死亡事故も

環境と健康に優しい、未来の都市交通手段として隆興を見せる電動自転車(eバイク)市場だが、その目的とは裏腹に、悪質な事件の引き金にもなっているようだ。

eバイクやスクーターの充電器とバッテリーに貼られた偽のULマークが、ニューヨーク市消防局(FDNY)によって深刻な火災リスクとされているのだ。

2023年だけで、e-bikeとスクーターのバッテリーが原因となる火災は164件に上り、96件の負傷と14件の死亡に繋がっているという。

認証の証、「ULマーク」とは?

ULステッカーは「Underwriters Laboratories」が発行しているマークで、製品が安全性のテストをクリアし、特定の安全基準やガイドラインを満たしている証。eバイクに限らず、さまざまな領域で使用されている。

© BabySafeHaven/X

これは単に製品が安全であるかどうかを評価するだけではなく、その製品が一般の人々に安全に使用できるようにするための基準を設定することも含まれている。そのため、UL認証は多くの企業や消費者にとって“信頼の証”とされているのだ。

ところが、市内で販売されている多くの充電器とバッテリーには、偽造されたULマークがステッカーとして貼られている可能性がある。

偽のULステッカーの危険性

偽のステッカーが貼られた(=正規の認証を受けていない)製品を使用すると、故障する可能性が高いだけでなく、ショートや感電火災や有害物質の放出といった人命に関わるリスクに晒される危険がある。

とくに、安価でオンラインで買える電動自転車やスクーターのバッテリーは、安全性に問題があるケースが多いそう。

また、偽造ステッカーでは再利用される際の安全性も確保されないため、二次災害的に新たな危険性が生じることもあるという。

肝心なのは「製造・販売元」の確認

現在、FDNYが偽のULステッカーの流通量や貼られているバッテリーや充電器の数を調査中。

FDNYは、偽造認証の最大の問題は「製品が安全だと誤って認識させる恐れがある」ことだと指摘。偽のステッカーを見つけたらULのウェブサイトで報告するよう市民に呼びかけている。

今後、偽のULステッカー問題に対する認知度を高めるための啓発活動を強化するとともに、不正確な製品の取り締まりを強化するとのことだ。

一方で、消費者自身も購入する製品が確かに安全基準を満たしているかを確認する必要がある。偽造に気付かぬまま”信頼の証”を鵜呑みにしてしまうと、最悪のケースに見舞われるかもしれない──特にオンラインでは、製造元や販売元に注意しよう。

環境と健康の双方に優しい選択肢として注目を集めているeバイクですが、偽造品がもたらすリスクはまさにその対極──“信頼の証”を逆手に取った、非常に悪質な犯罪ですね。

また、eバイクの流行で問題が浮かびましたが、一般的な電化製品にも同様の危険は潜んでいるかもしれません。

故障はともかく、火災や有害物質の放出って……もはやある種のテロに等しいのでは?

オンラインショッピング系の詐欺と同じく、「消費者側のリテラシー」がますます求められる時代になってきそうです。

Top image: © iStock.com/aerogondo
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。