世界で「もっとも経済的に自由な国」発表。日本の順位、そして1位は……
カナダに拠点を置くシンクタンク「Fraser Institute」によって、「世界の経済的な自由度」を調査したレポートが発表された。
この調査は、165の国・地域を対象に、国際貿易の容易さ、市場への参入と競争の自由、ビジネスに対する規制などを基準とした「経済自由指数」をランク付けしたもの。
調査の結果、シンガポールが1位を獲得。1970年から1位を保ち続けていた香港が、ついに追い抜かれる形に。
シンガポールは10点満点中8.56点を獲得、8.55点だった香港をわずかに上回り最高スコアとなった。
「中国政府の介入」によって
香港の順位が下降
香港の順位が変化した原因としては、新たな規制的参入障壁や事業コストの上昇、また法への軍事的介入の増加、司法の独立性と公正さへの信頼の低下などが挙げられている。
研究の担当者は、今回の順位変動について以下のようにコメントしている。
「香港がこの指標で1位にならなかったのは初めてであり、中国共産党があらゆる自由を抑圧し続ける限り、そのスコアはさらに低下すると予想されます」
「香港の変化は、経済自由度と市民的・政治的自由との密接な関係の一例です。中国政府の目的は、政治的・市民的な不満を抑圧することでした。そして、これらの抑圧と政府による企業への介入により、経済自由度は必然的に低下しました。結果として、香港の繁栄は損なわれるでしょう」
その他の順位と変動について
香港に次いで3位となったのはスイス。その後にニュージーランド、アメリカと、欧米圏の地域が続いている。
また、タイが大きな変化を見せており、前年の72位から64位まで上昇した。トップ2がアジアであることも踏まえ、昨今のアジアの経済成長が窺える結果だ。
先日も、EC市場における東南アジアの爆発的な拡大が見込める旨が報道されるなど、各産業においてアジア圏の影響が強まってきているのは間違いない。
一方で、日本は7.79点で20位にとどまっている。
さて、シンガポールでは留学生であっても比較的就労ビザが取りやすいとされており、筆者の周りにも、日本の大学を卒業した後に新卒でシンガポールに就職する友人が何人かいる。
このように、海外人材の採用を積極的に行っているという点も、経済的自由度を引き上げている要因の一つなのかもしれない。