数年後、世界を率いている国は……?南アジアの経済成長率が「世界最高」の水準に
世界銀行の発表によると、南アジアの経済は、今年5.8%成長するとの見込み。これが実現すれば、南アジアは“世界で最も成長が速い地域”になるとのことだ。
地域経済の発展に最も貢献したインドは、2023〜24年の財務年度に6.3%の堅調な成長が予想されている。また、モルディブやネパールも観光業による回復が期待されている。
期待は高まるところだが、ミクロで見ればまだまだ問題は多数。国ごとの状況を、少し掘り下げていこう。
南アジアの発展は均等ではない
地域としては大きな成長が見込まれる南アジアだが、国によって、その傾向は一様ではないのが現状だ。
バングラデシュの成長率は5.6%に減速する可能性があり、パキスタンで予測される1.7%の成長率は人口成長率を下回るものだ。
また、昨年に経済崩壊を起こしたスリランカにおいては、深刻な不況からは徐々に回復しているものの、改革の進展は十分ではない。
南アジアは他の新興市場よりも速い成長を遂げているが、中には厳しい状況になる国もあるということだ。
依然として残る課題
成長率の高低を問わず、南アジア全体においては幾つかの課題が残されている。
全体的に、高いインフレ率や金利、巨大な政府債務、隣接する中国の経済減速などが目下の課題とされる。
そして、今後は気候変動による自然災害の激化に対応していく必要もあるだろう。
世界銀行は、財政状況の改善と公害の削減のためにグリーンエネルギーへの転換が必要であると強調している。これは特に、同地域の労働力の大部分が、公害の多い職業に従事しているため。
また、南アジアは地域全体として、エネルギー効率の高い技術の採用や緑の雇用の創出に遅れをとっているという。
これらの課題を乗り越え、経済成長と共に文化的発展を遂げることが、南アジアが新たな時代を迎えるために必須となる条件と言えるだろう。
巨大化するインドに続き、モルディブやネパールをはじめ、地域全体が秘めるポテンシャルは確かだ。法や制度の整備・改正など、同地域の進展に引き続き注目していきたい。
南アジアの経済成長は著しいですが、一人当たりの所得は約2,000ドルで、東アジアや太平洋地域と比べて5分の1と非常に低い水準らしいです。
成長率もパンデミック前の水準より低いと言われてますし、今後上振れする可能性はありますが、高所得国と並ぶにはまだ長い道のりがありそうですね。