「ナチスに奪われた」エゴン・シーレの作品を遺族へ返還

9月20日、米マンハッタン区検察当局は、ホロコーストで殺害されたユダヤ人の遺族に、かつてナチスが奪ったアート作品が返還されたことを発表した。

ユダヤ人のコレクターであったフリッツ・グリュンバウムはナチスによって逮捕され、所有していたすべての作品を妻のエリザベートに引き渡すよう強要された。その後、彼は1941年にドイツのダッハウ強制収容所で殺害され、妻も1942年にベラルーシのナチス収容所で命を落としたそう。

作品はナチスに「退廃芸術」とみなされ、資金調達のために別の買い手に売却されたという。

今回返還されたのは、オーストリアの画家エゴン・シーレの作品7点。

ロナルド・ロウダー氏と美術収集家のセルジュ・サバースキー氏が所有していたもののほか、「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」や「モーガン・ライブラリー&ミュージアム」、カリフォルニアの「サンタバーバラ美術館」が所蔵していたものが含まれている。

『CNBC』によると、コスメブランド「エスティローダー」の後継者であり美術収集家のロナルド・ローダー氏は、「検事局から連絡を受け、グリュンバウムの遺族に自発的に美術品を返還することに同意した最初の人物だった」そう。

ローダー氏は、数十年間グリュンバウムの遺産を取り戻すため努力した遺族たちに敬意を示し「支援できることをうれしく光栄に思う」と述べたという。

ナチスが人々を殺害したことはもちろん、彼らの大切なコレクションを略奪したことはれっきとした犯罪。今回の返還で、かつての犯罪行為を許さない強い姿勢がみえたように感じます。

それにしても先陣きって返還に乗り出したローダー氏、尊敬せざるを得ませんね。

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