アマゾンで「イルカの死骸」が大量発生。悲劇はこれで終わらない

「幸運の使者」と呼ばれ、愛と平和の象徴であるイルカ。

水族館でも大人気の愛され者だが、多くの種が絶滅の危機に瀕しているのが現状だ。そして先月、懸念を加速させる惨事が起きた。

ブラジル・アマゾン川支流のテフェ湖で、大量のアマゾンカワイルカの死骸が発見されたのだ。9月下旬の1週間だけで、その数は少なくとも120頭に及んだという。

『CNN』の報道にて、イルカの調査を主導する研究所の専門家らは、「原因を決めつけるにはまだ早い」としつつも、干ばつと高温の影響で水温が10度近く上昇していることを指摘している。

世界最大の水路であるアマゾンには多種多様な野生生物が生息しているが、近年の異常気象によって、その様子は変わりつつある。

イルカの惨事と同時期に、川の一部の水面が大量の魚の死骸によって埋め尽くされる現象も発生。地元の人々の生活用水が汚染され、11万人に影響が出た。

イルカは水路の安全性を示す指標であり、イルカが繁殖している場所では、水域全体の生態系も繁栄していると考えられている。逆に言えば、イルカが生きていけない場所は、過酷な状況であることを意味するのだ。

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アマゾンカワイルカは、海洋開発や水銀中毒、狩猟などによって生息数が激減し、国際自然保護連合によって絶滅危惧種に指定されている。

彼らを救うため、研究者や活動家が比較的水温の低い海域への移送を試みているものの、移送先が遠く、救出活動は困難を極めているという。また、ある専門家は、移送先での安全を確保するためには毒素やウイルスの検査も必要となる等、多くの試練があると語る。

当局の報告では、さらなる干ばつによってイルカの死亡数は増加するとの予測も。

今後の研究と活動によって、生態系保護に向けた取り組みが強化されることを期待するほかないのだろうか。アマゾン川の生物多様性が失われる前に、これらが実現することを願いたい。

イルカといえば海のイメージですが、川や湖に生息している種類もいるんですね。

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