「愛の南京錠」によってコンドルが絶滅!?グランドキャニオンやパリで撤去する事態に
名前やイニシャルが彫られた南京錠を、フェンスにかけて施錠し、その鍵を水辺に落とす。
これは「愛の南京錠」と呼ばれる、世界中のカップルたちが永遠の愛の象徴として行う儀式である。
ロマン溢れる儀式だが、実はこの行為が、現地の環境に悪影響を引き起こしているらしい。
グランドキャニオン国立公園が公式Facebookページで共有した投稿では、「愛は強いが、私たちのカッターはさらに強い」と言う強い言葉と共に、愛の南京錠の設置を控えるよう、観光客に警告している。
これらの南京錠はごみとなってしまうだけでなく、捨てられた鍵が動物の健康上の問題を引き起こす可能性があるのだ。
カリフォルニアの固有種であり、絶滅危惧種であるコンドルは、光り物に惹かれる傾向がある。
強い好奇心を持つコンドルが水辺に落とされた鍵を食べてしまい、手術が必要となる事例が発生している。また、同投稿では「コンドルは金属を消化できないので、過剰に摂取すると命を落とす可能性がある」と指摘。
金属製の鍵は、人間にとっては“愛の象徴”であっても、コンドルからすれば“死のトラップ”に等しい存在なのだ。
愛の南京錠は、他の観光地でも問題となっている。
『CBS NEWS』によると、パリのポン・デ・アール橋では、南京錠の重みが橋の構造的完全性に損傷を与えていたため、パリ市は2015年に全ての南京錠を撤去する事態に。
撤去された南京錠は70万個にも上り、その重さはなんと20頭分の象に相当したという。
その後、市はガラスのパーティションを橋に設置し、新たな南京錠の設置を防いでいる。
「永遠の愛の象徴」の効力はさておき、それがゴミとして撤去されてしまっては元も子もない。まして、それが動物の体内に入ったり、掛けた構造物を崩壊させてしまったなら……。
金属に愛を誓うなら、静かに指に嵌めておくことをオススメしたい。
南京錠をかけることを禁止する代わりに、専用のモニュメントを設置している観光地もあるそうです!