パリ市を悩まさせるのは恋人たち!?――ベンのトピックス
恋愛が似合う街、パリ。
これに頷けるかどうかはさておき、チュイルリー庭園やルーブル宮殿、エッフェル塔やモンマルトルの眺望にロマンティックのかけらもないという人はいないでしょう。
とくにセーヌ川に架かる橋の数々は世界有数のロマンティックなスポットです。『ビフォア・サンセット(2004年)』、『インセプション(2010年)』、『ミッドナイト・イン・パリ(2011年)』などなど。ミレニアルズに馴染み深い近年の映画だけでも、“セーヌ川に架かる橋”を印象づける作品はたくさんあります。
今年の夏、僕もパリを訪れた際には、ご多分に漏れずそれらの橋を散歩してきました。
とくに印象的だったのはポンデザールです。その理由はまったくロマンチックじゃなかったけれど……。
問題は南京錠の重さにあります
ルーヴルとフランス学士院をつなぎ、パリでもっとも美しい歩行者用の橋であるポンデザール。TABI LABOの読者には『セックス・アンド・ザ・シティ』のキスシーンのあの橋と言ったほうがわかりやすいかもしれません。
ここは“愛の南京錠”の聖地としても有名です。
念のため説明しておくと、愛の南京錠とは、恋人たちが名前やメッセージを書いた南京錠を橋にロックするという一種の儀式。鍵は川に投げ込まれる。南京錠は永遠の愛の象徴というわけです。
多くの人はこれを昔からのパリの伝統だと思っているが、これは約100年前に始まった比較的新しい儀式。セルビアのモスト・リュバヴィという橋で、破局したあるカップルの物語が起源になっているとされています。
今でも橋の近くで南京錠が売られています
パリ市は#lovewithoutlocks(錠なしの愛)というキャンペーンを展開し、カップルに南京錠の代わりに自撮りをするよう奨励していますが、南京錠を販売しているオンラインショップや橋周辺の販売業者の影響もあり、当然ながらうまくいってません。
これは複雑な問題です。
結局、パリ市は販売業者や観光客に罰金を課すのは現実的ではないと判断しました。パリ市が唯一有効だと考えたのは、愛の南京錠を撤去しそれをチャリティ目的でオークションに出品することでしたが、それでも橋の改修時期が近づくまでなかなか撤去に踏み切ることができませんでした。
愛の南京錠はいまやパリのシンボルであり、雰囲気づくりに一役買っているのも事実。それを不愉快に思う人がいるし、危険をもたらしかねないというのも事実。
パリ市の対策には今後も注目です。