ヴィーガン・ファイティング・マシーン――ベンのトピックス

今回は“ヴィーガン・ファイティング・マシーン”を紹介しましょう。だけど、その前にヴィーガンそのものについても書きたいと思います。

ことわっておくと、僕はヴィーガンではありません。肉が大好物だし、牛乳もたくさん飲みます。けれど、ヴィーガンへの理解を深めたいと思っているひとりです。世界中でヴィーガンの数は確実に増えているし、それは日本でも同じ(東京のヴィーガンのオフ会には7000人近いメンバーがいるそうですよ!)。僕の友達にもたくさんいます。

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ただし、ヴィーガニズムというのは複雑です。よく知られているところだと食生活が挙げられます。ヴィーガンは、肉はもちろん、卵や乳製品、ゼラチンやハチミツ、そのほかあらゆる動物性食品を口にしません。さらにその思想は着るものに及ぶことも。ファーやレザーに加えて、ウールやシルクを着用しないという人もいるんです。

彼らはなぜそのような生き方を選ぶのでしょう?

道徳的問題を挙げる人たちがいます。彼らは食肉や動物性食品産業は動物虐待だと考えています。また、これらの産業は気候変動を増大させるという環境上の理由を挙げる人たちもいます。牛だけを例にとってもみても、その飼育にはとてつもない量の水が必要ですし、温室効果ガスが大量に出ることもわかっています。さらに流通や保存に関してもかなりの数の冷蔵庫が必要になることは想像に難くありません。さらに自身の健康上の理由からヴィーガンになる人もいます。その食生活は、慢性病に効く、現代人はコレステロール値に問題があるというわけです。

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偏見を持つ人、バカにする人もたくさんいます

このようにさまざまな理由から支持されるヴィーガニズムですが、偏見もあります。

よくあるのがヴィーガンの人は気取っているとか説教くさいとか、そういった類いの話。そうでしょうか?僕の知っているヴィーガンの人たちは、みんなとってもいい人たちですよ!

あとは栄養の問題を指摘する人もいます。とくにアメリカでは、多くの人が肉の食事から思い浮かべるようなタンパク質やビタミンB12といった基本的な栄養素が不足していると、ヴィーガンをバカにする人がいます。たしかにヴィーガン食品にはタンパク質やビタミンB12はあまり含まれていません。でも、ヴィーガンの人たちは、だからこそ、それらを意図的に摂取しようと努力するので、あまり問題ではないと思います。

つまり、僕が言いたいのは、ヴィーガンに対する誹謗中傷のほとんどが的外れだってことです。

彼を知れば「ヴィーガンは栄養不足だ」なんて言えません

© Scott Heavey/Getty Images

前置きが長くなりました。上の写真の彼が“ヴィーガン・ファイティングマシーン”です。

デビット・ヘイ、38歳。

ロンドンはバーモンジー出身のプロボクサーです。クルーザー級とヘビー級の世界タイトルを取っています。しかも、リングで対戦したほとんどの相手にKO勝ちをしています。

そんな彼がヴィーガンになったのは2014年のこと。動物虐待の映像がきっかけで、ヴィーガニズムの熱心な提唱者となりました。

「サルはどこからあの力を得ていると思う?サルは人間の20倍もの強さを持っているのに、肉中心の食事はしていない。一日中植物ばかり食べている」という発言からもわかるように、彼は強い肉体を手に入れるのに肉も卵も必要ないという主張を持っています。それを証明するため、さまざまな取り組みも行っています。

ヘイ自身はレンズ豆、キヌア、玄米、複合炭水化物と複合アミノ酸タンパク質をミックスした食事を摂っているそうです。イギリスでは有名人ですから、彼の名前をブランド名にした植物性タンパクのシェイクも発売されています。

今現在のヘイはボクサーとしては少し歳をとったかもしれない。それでも同年代の多くのボクサーよりも体脂肪が少なく、肌も以前よりきれいになったと言います。

僕からのメッセージです

僕はヴィーガニズムがカラダや環境にいいことだと思っています。だけど、やっぱり肉が好きだし、動物性食品と永遠にお別れすることができません……。
 
でも、完璧なヴィーガンじゃなくてもいいかもしれない。僕の妹は平日はヴィーガン、週末だけ肉を食べています。環境にやさしく、少し経済的で、カラダにいいこともありそうです。
 
ここでデビット・ヘイを例に挙げたのは、あなたもヴィーガンになるべきと言いたかったわけじゃない。ただ、世界でこんなに盛り上がっているヴィーガンに少し興味を持ってもらえたらと思ったんです。
 
僕たちを取り巻く世界は、知れば知るほどよくなるはずです、よね?
Top image: © Scott Heavey/Getty Images
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