パープル・レイン――ベンのトピックス

プリンスのレコード/CDの売上は全世界で1億枚以上。アカデミー賞、7つのグラミー賞、ゴールデン・グローブ賞も受賞している。そして、僕の好きなミュージシャンの1人でもあります。

爆発的ヒットソングを生み出す才能に加えて、度肝を抜く奇抜な楽曲もお手の物。贅を尽くした衣装、見逃す手はない素晴らしいライブショー(彼はギターの名手でもありますよね)など、一言で表せば音楽の天才だと思います。

さて、そんなプリンスのパフォーマンスで、視覚的に最も印象に残るのが紫色です。

例えば、スーパーボウルの有名なショーで、7万4千人の観客を前にしてヒットソング「パープル・レイン」を歌った時。スタジアム全体が紫色のライトで照らされる中、あでやかな紫色のギターを取り出し、ソロ演奏を披露したのを覚えている人も多いのでは?

そう、紫はプリンスにとって重要な意味を持つ色です。残念なことに彼は2016年に亡くなってしまいましたが、2017年にはパントン社が、プリンスが好んで使用していた紫色を「Love Symbol #2」と名付け、同社のラインナップに加えました。

プリンスは優秀なミュージシャンであると同時に、知的財産権にうるさい人物としても有名です。
 
大手レコード会社を相手にした訴訟を何度も起こしているし、他人が彼の音楽、つまりプリンスのアートワークを無断で使用することに対して非常に厳しく追求してきました。
 
本人が他界してからは、彼の遺産管理財団がこの姿勢を引き継いでいます。何千もの未発表曲やプリンスの手によるアート作品の発表、さらには、メディアでプリンスの話をする人々についても戦略的な手法を取っています。
 
“紫色”に関しても同様です。
 
現在、プリンスの遺産管理財団は、映画やMV、CDジャケットなどのメディア上で「Love Symbol #2」の著作権及び登録商標について、パントン社と交渉しています。遺産管理財団によれば、この色は明確かつ密接にプリンスと結びついており、あらゆるメディアで使用される場合は、この色が直接プリンス自身を指していることが非常に重要だと主張しています。
 
僕がこの記事の中で「Love Symbol #2」を使っていることをお許しいただけるといいのですが……(※編集部注:許可をとりました)。

商標登録されている、有名な色たち

 
僕は、プリンスの「Love Symbol #2」に関するニュースを知った時に、素朴な疑問を持ちました。
 
ほかにどんな色が商標登録されているんだろう?
 
調べてみると、結構ありました(笑)。

Pantone 219 C
バービーピンク

「Pantone 219 C」はバービーピンクの名で親しまれています。

そして、バービーの製造元マテル社は、この色を100以上ものカテゴリーで商標登録しています。なんせバービーブランドは、オリジナルのバービー人形から子ども用アクセサリー、シリアルに至るまで、ありとあらゆるものに使われています。

実際にマテル社はバービーライセンス製品に酷似する製品にこの色を使用した他のブランドを訴え、勝訴してきた実績もあります。

この色を見たらバービーを思い出す?

Pantone 12-0633 TCX Canary Yellow
ポスト・イット®

バービーピンクに比べると、若干知名度は低いかもしれません。だけど「Pantone 12-0633 TCX Canary Yellow」は、正真正銘、3Mのポスト・イット®の色です。蛍光色の黄色や白の付箋は3M以外の会社が発売してもOK。ただし、この独特の明るいイエローを事務用品に使うことは許されない。

この話のもっともおかしな点は、3Mがこのイエローを選んだ有名なエピソードにあります。彼らがポスト・イット®を最初に考案した時に、オフィスにあった唯一のメモ用紙の色だったというのです。

偶然に、適当に選んだ色なのに……。

Pantone 1837
ティファニーブルー

ティファニーブランドを象徴するティファニーブルーもまた、当然のように商標登録されています。

「Pantone 1837」は、1845年からニューヨークを本拠地とするこの宝石店が使い続けている色で、実際に同社の商品を包装する箱は他でもないパントン社によって印刷されています。それどころか、この色の名前はティファニー社1837年に創業したことに由来されているのです。

類似色の箱でジュエリーブランドを市場に出そうとすれば、ティファニーは訴訟を起こしてくるかもしれません。なんせここに挙げた他の色と違って、ティファニーブルーは個別登録されたパントンカラーであり、オンラインで閲覧したり店頭で購入することができないんです。

個人的に言わせてもらうと……

みなさんはこれらをどう思いますか?

僕は色の著作権、商標権に関しては複雑な気持ちです。ティファニーのようなデザイナーブランドとなれば、そのパッケージの色はきわめて印象に残るものだし、競合他社に自社イメージを食い物にされるわけにはいかないのは理解できます。

だけど、プリンスに関してはちょっと違う。

もちろん僕は、紫でプリンスや彼の演奏を連想することがあります。ファンだから。だけど、あの紫色を映画やMVの中に登場したからと言って、必ずしもプリンスに結びつくわけじゃない。正直、この件については彼の遺産管理財団がちょっとやりすぎているとも思うんです。

最後にここで紹介した色に関する商標権は、あくまで特定のジャンルの商品においてのみ適用されているものです。例えば、自宅の壁の色を「Love Symbol #2」にしても、訴えられることはありません。まあ、センスとしてあまりオススメはしませんが……。

Top image: © Richard E. Aaron/Redferns/Getty Images

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