エアビーは、不況にあえぐ英国の「救世主」となるのか?

EU離脱以降、先行きの見えない大不況と価格高騰に苦しむ英国国民。寒さが本格化するこれからの時期、去年のように「暖房か食料か」と葛藤する人々も少なくないだろう。

そんな中、「Airbnb(エアビー)」が、英国における民泊動向についての新たなレポートを発表した。

いわく、旅行業界がかつての勢いを取り戻した昨年、エアビーによる旅行が国内経済を29億ポンド(約5,300億円)も押し上げたという。さらに、店員やツアーガイド、清掃員など、あらゆる業態における雇用を新たに10万7,000件以上創出したと表明している。

不況が続く英国で
エアビーが重要な収入源に

今日では、都市から田舎まであらゆる観光地で提供される民泊。あまり知られていない街にも足を伸ばすきっかけになったり、ホテルを利用するよりもコストが抑えられたりと、旅行客にとって何かと便利なサービスだろう。

しかし、恩恵を受けているのは旅行者だけではない。宿泊施設を貸し出すホストもまた、その収入に大きく依存しているのだ。

調査によると、英国におけるホストの約4割が、エアビによる収入を上昇する生活費に充てていると回答。また約3人に1人が経済状況を理由に、より多くのをゲストを迎え入れる予定があるという結果に。

一般的なホストの年収は6,000ポンドを超えており、これは英国の中央値世帯の2か月分の残業代に相当するという。不況が続く英国で、エアビーはますます重要な収入源となっているようだ。

エアビーをめぐる賛否両論の声

一方、世界全体に目を向けてみると、エアビーはむしろ、規制もしくは禁止の方向へと進んでいるようだ。

例えば、ニューヨーク市は「正式に許可を受けた物件でなければ提供できない」という新たな条例を施行しており、これは事実上のエアビー規制とみなされている。

理由としては、短期賃貸がもたらすゴミや騒音の問題に加え、エアビー普及に伴う地元住民向けの物件が減少していることが挙げられる。

住宅不足や価格高騰が深刻化し、元々住んていた人々が、都市を離れざるを得ないという状況が生まれているのだ。

Airbnbによる今回のレポートは、次第に強くなりつつある民泊のマイナスイメージを払拭しようという狙いがあるのかもしれない。ただ、エアビーが旅行客を惹きつける要因として働き、結果として雇用の創出や英国経済を支えているのも事実だろう。

何事も、良い面・悪い面を備えるもの。今後各都市がエアビーをどのように評価していくのかが注目される。

規制に動くにせよ、奨励するにせよ「住民との対話」の中で最適な方法を模索していく必要がありそうだ。

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