2024年の2大トレンドカラー「思わず触れたくなるピンク」vs「冷静なブルー」
世界の流れや世相から、トレンド分析して選ばれる今年の色「Color of the Year」。
PANTONE社が、2024年のテーマカラーに選んだのは、ピンクとオレンジの中間にあたる「Peach Fuzz(ピーチ・ファズ)」だ。
昨年のド派手ピンクから一転、今年の色は優しく包み込むようなテイストに。
コーラルピンクにも近い、人の体温を感じさせる柔らかな色味は、ぬくもりを求める心にそっと寄り添ってくれるかのよう。
ファズ(綿毛)のようにふわふわした質感をイメージさせ、本能的に「手を伸ばして触れたい」という気持ちを掻き立てる……センシュアルでありながらも洗練された、現代的なピーチカラーだ。
Pantone社のLaurie Pressman副社長は、忙しなく生きる現代人に“心の平穏”をもたらすようにと願ったと、選出の理由を次のように語る。
「生産性や目に見える成果を強調しがちな世の中で、私たちは自分の内面を育むこと、そして現代生活の喧騒の中で憩いのひとときや創造性、人とのつながりを見つけることが重要です。」
「友人や家族と過ごすぬくもりや心地よさ、あるいは単に自分だけの時間を過ごすといった特別なものを大切にしています。それを念頭に置いて、私たちはコミュニティや他者と団結することの重要性を示す色にしたいと考えました。」
大変な時こそ少しペースを落とし、周囲の人も自分自身も大切にすることが、今を乗り越えるためのキーワードのようだ。
一方、国内ではこれと別に、日本流行色協会(JAFCA)が今年のカラーを発表している。
そちらで選ばれたのは、「ハロー!ブルー」と題されたクリーンでさわやかな青色だった。
水を象徴する自然みなぎるブルーカラーは、「冷静さ」「浄化」を連想させる色であり、新たな時代を明るく照らす“平和のシンボル”なのだそう。
日本では、新年早々に大きな地震に見舞われ、2024年は不安や困難と隣り合わせの状態でスタートを切ることとなった。
今はまだ「ハロー!」と明るく呼びかけることができないかもしれないが、誰も予想できない状況に対して冷静に判断すること、そして希望ある未来を切り開くという意味では、ふさわしい色と言えるかもしれない。
激動の時代にあることは確かだが、自身の内面や大切な人に触れ、希望ある未来を信じて進むこと。ピンクとブルーという相反するカラーだが、どちらもこの1年を有意義に彩ってくれることだろう。