2024年は「節約を隠さない」。新たなトレンドが幕を開ける!
2023年秋、突如として現れた「Quiet Luxury」というトレンドを覚えているだろうか。文字通り、控えめかつシンプルなラグジュアリーファッションを指すこの言葉は、富裕層をはじめZ世代の間でも一大ムーヴメントと化していた。
そして2024年、新たなトレンドが動き始めている。
「loud budgeting」だ。
すでにTikTokにおいて、「#loudbudgeting」は1000万回以上の再生回数を記録しており、今後も急速に広まっていくことが予想される。なんでも、「自分の貯蓄目標を周りに共有し、お金の節約について声を上げる」ことを促していく考え方なのだそう。
どうやら今年は浪費の衝動を真っ向から否定し、冷静なお金の使い方がはじまる年になるかもしれない。
お金が無いわけじゃなく、
お金を「使いたくない」
先に述べた「Queit Luxury」のようなトレンドはクールであるものの、Z世代にとっては無理して背伸びし続けるようなもの。
そこで彼らは「Girl math」というマインドを独自に創出。罪悪感から逃れるために自身の購買行動を無茶苦茶に正当化していく、究極のポジティブ思考は、いとも簡単に彼らの金銭感覚を狂わせることに成功した。
いっぽうで、「そんなのダメだ!」と正気を取り戻したのがこのムーブメント。ただ節約思考になるのではなく、自分の新たなお金の使い方を周囲の人々と共有し合うのが、このトレンドの醍醐味だ。
例えば、高価なディナーや旅行に行きたがっている友だちに対して「今月はloud budgetingなんだ」と率直に伝えることで、確執を生むことなく断れるどころか、お互いの財務目標をサポートし合える空気感が生まれるとのこと。
ファイナンシャルアドバイザーのデレク・オーバー氏は、このトレンドを“公約”のようなものとして捉えており、お金を使わない理由を周囲に伝え、節約する目的を透明化することが個々の財務戦略に繋がるだろうと述べている。
日本人は特に、自分のお財布事情について打ち明けることはタブー化されてきた傾向がある。金銭面についてオープンになることは、経済的不安を軽減する要素にもなり得るため、今後私たちが今取り入れるべき考え方なのかもしれない。
今日から始められる、
loud budgeting実践法
具体的な実践方法を知るために、まず本国アメリカではZ世代がどのように「Loud budgeting」を取り入れているのか見てみよう。
「ジムの会員をやめる」「コーヒーを飲まない」など、レベルの差はあれど個々で目標や制限を明確に設定していることが伺える。同トレンドには、自分の生活を一度振り返って必要ではない支出を取り除くことで、自分にとって必要な支出を再確認できる面もあるようだ。
そこで、「The Budgetnista」の金融教育を手がけるティファニー・アリッシュ氏の実践法をご紹介。彼女が特に推奨するのは、視覚的なリマインダーとしてクレジットカードに「無効化ステッカー」を貼ること。カードを取り出すたびに予算管理が脳裏にチラつき、今買おうとしているモノは果たして必要かどうか、冷静に判断する時間を作ることができるという。
彼女が提案するloud budgeting実践法は他にもあるため、自分に合う方法を試してみていただきたい。
・1ヵ月に使うお金のリストをカテゴリごとに作成する
・クレジットカードの明細を細かくチェック
・用途に分けた銀行を用意する
・自分の経済的な目標、価値観、ニーズについて友人や家族と話す機会を設ける
大声で、お財布事情を“宣言”する時代
アメリカのZ世代から始まったloud budgetingは、激しい物価上昇とインフルエンサーのビジネスアプローチの狭間で心を揺さぶられる私たちにとって、優しく肩を撫でてくれるような存在。このように感じるのは筆者だけだろうか。
大量生産・大量消費の時代に生まれたZ世代は、時代に揉まれても情報を精査し、ひとつひとつの購買行動に自分なりの価値を見出していかねばならない。これが単なるトレンドを超えて存続し、より多くの人々が自分自身の「支出習慣」に責任を持ち続けていくためにも。