ユーザーの意表をついた「クセ強すぎる」異業種コラボが大当たりのワケ

アメリカで人気のヴィーガンコスメブランド「E.l.f. Cosmetics」と缶入りの飲料水ブランド「Liquid Death」が奇想天外すぎるコラボを果たし話題を呼んでいる。リリースされたアイテムは、限定版メイクアップキットだ。

45分で即完売
コープス・ペイントに夢中!

©Liquid Death

棺桶を模した専用ボックスに以下、5つのアイテムがセットになっている。

・Dead Set(キープミスト)
・Dead Line(黒のアイライナー)
・Brush with Death(メイクアップブラシ)
・Kiss of Death(黒のリップ)
・Eye Die(白のクリームアイシャドウ)

なんともおどろおどろしいネーミングはさておき、黒のリップに白のアイシャドウって、どんなメイクよ?と思うことだろう。

では、同アイテムで完成するメイクをご覧あれ!

© elfcosmetics / instagram

じつはこの商品「elf x Liquid Death Corpse Paint Vault」の名の通り、Corpse Paint(コープス・ペイント)のためのメイクアップキット。ヘビメタファンにはおなじみ、コープス・ペイントとは「ブラックメタル」でよく用いられるメイクスタイルのことで、ミュージシャンを悪魔や死体のように演出する表現などに用いられている。

となると、購買するのもブラックメタルファンだけ?と思いきや、販売開始からわずか45分でSOLD OUTとなったというのだから、その人気の高さがうかがえる。

それにつけても、いったい何を目的にコスメブランドと飲料水ブランドが手を組んだのか?何から何まで奇想天外。だが、その背景には計算し尽くされたマーケティング戦略が。

Z世代に支持される
2つの人気ブランドの共通点

© elfcosmetics / instagram

昨年10月、米投資銀行「ハイパー・サンドラー」がアメリカのティーン9000人強を対象に“クールなブランド”の実態調査を行った。結果はコチラの記事に詳しく。そこで2位に選出されたのが「E.l.f. Cosmetics」。低価格でありながらヴィーガン・クルエルティフリーの自然派コスメというコンセプトが若者たちの心を捉えたようだ。

大物インフルエンサーを起用したSNSマーケティング戦略も彼らのライフスタイルにどハマり。「Forbes」によれば、2023年4月から6月の売上高は前年同期比で76%増となり、現在でも拡大を続けている。まさに飛ぶ鳥落とす勢い。それだけでなく、二酸化炭素排出量の削減に積極的に取り組む姿勢も評価されている。

© liquiddeath / instagram

対して「Liquid Death」。

「クラブやライブ会場において、ムードや雰囲気を壊さずに水が飲みたい!」という潜在的なニーズに着目し、ビールやエナジードリンクを連想させるデザインの缶に水が入った商品でこちらも大ヒット。その見た目とは裏腹にナチュラルウォーターというギャップに火がついた。

また、収益の一部は、クリーンな水を求める人々へと飲料水を届けるNPO団体に寄付されるというソーシャルグッドな取り組みにも注目されている。

公式サイトにはこんな文が。

私たちの邪悪な使命は、人々を笑わせ、より多くの人々にさらに多くの水を飲ませること。そしてそれはすべて、プラスチック汚染を“殺す”のに役立つ。

さて、一見共通点のないこの2つのブランドだが、ターゲットとする消費者像やブランド理念、そしてマーケティング戦略には通づるところがあるようだ。

米メディア「Inc.com」より、今回のコラボを実現させた立役者らの声を紹介したい。

Liquid Death副社長ダン・マーフィー氏は、ターゲットとする消費者像やブランド理念にシンパシーを感じたと述べ、E.l.f. Cosmetics社長兼最高マーケティング責任者のコリー・マルキソット氏もこれに同調。化粧品ブランドと飲料水ブランド、表面的にはまったく異なる業種でありユーザーもそれぞれに思えてしまうが、その根幹の部分に通底するものが業種の垣根を越え、今回のコラボに至ったようだ。

消費者の意表を突く
緻密な戦略

それにつけても今回の奇抜なメイクアップキット、妥当なところならハロウィーンを狙ってのリリースとなるところだが、3月リリースというタイミングにも意図があった様子。競合がいない状態を狙いよりインパクトを強め、関心を一手に集約させるためだとマーフィー氏。

E.l.f. Cosmetics側マルキソット氏もコラボに対するブランド戦略に言及。予期せぬ展開で消費者にインパクトを与え、コラボすることでどのように機能するかを示すことで消費者はさらに満足感を高めることができると独自の見解を示した。

両者のコメントをまさに体現するように、Instagramを通して消費者に大きな衝撃を与えた投稿がこちら。

© elfcosmetics / instagram

さらにこの投稿から1週間後、クセ強でインパクト大な動画とともに、商品がリリースされた。

© Liquid Death / youtube

それぞれのフィロソフィを持ちながらお互いに共鳴しあう部分を多く有する「E.l.f. Cosmetics」と「Liquid Death」。両社のエッセンスを見事に融合させ、一大旋風を巻き起こしたこのコラボ。人々が夢中になった背景には、消費者の意表をつく、緻密なマーケティング戦略があったことは言うまでもない。

Top image: © Liquid Death
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。