ギネス認定の世界最古のパッケージが奇妙すぎ

全てのものに存在するであろう、「世界最古」と呼ばれる存在。

そのうちの一つ、現存する“世界最古のパッケージデザイン”としてギネスに登録されている商品をご存じだろうか。

答えはコチラ。

© lylesgoldensyrup/Instagram

教訓めいたキャッチコピーと、ユニークなイラストが特徴のロゴ。

これは、1881年にイギリスで創始されたTate & Lyle社のシュガーシロップ、その名も「ゴールデンシロップ」。

そのパッケージは、よく見ると「ミツバチに囲まれたライオンの死骸」という、口にするもの、ましてや甘いものとは思えない、かなり奇妙なデザイン……。

センスを疑うなかれ、実はこのイラスト、旧約聖書の物語からインスピレーションを得て誕生したらしい。

「ある勇者が素手でライオンを倒した後、その死骸の中にミツバチが巣食っているのを見つけた」とする逸話で、“甘さは強さから生まれた”という謎かけのような形で語り継がれていたもの。

ちなみに、この「Out of the strong came forth sweetness」の文言は、ライルズ・ゴールデン・シロップのロゴ内に創業以来印字されてきた。

詳しくは省略するが、この逸話には「蜂蜜より甘いものは何か」を問う箇所もあるようで、ともかく、会社は「甘いシロップ」を象徴するこのロゴを大変気に入っていたようだ。

そして2006年、世界最古のブランド・ならびにパッケージを持つ商品として、シロップはギネス世界記録の認定を受ける。

......さて、実に140年もの歴史を誇る(ブランドのプライドと思わしき)このパッケージだったが、ついに一新されるらしい。

© lovelypackage/Instagram

新しいロゴではライオンが抽象化され、死骸とはかけ離れた生き生きとした表情に。群がっていた蜂も、ライオンの頭の少し上に一匹だけ残っている程度。

かなり取っつきやすくなったように感じるが、伝統を守りたいTate & Lyleの人たちは、やはりこの変更に不満な様子。

特に敬虔なキリスト教徒には受け入れがたいようで、「ブランドマネージャーが関与すると、こういうことが起こる。2000年も生き残ったストーリーを“リフレッシュ”して捨ててしまうのだ」と(聖書の内容に忠実でない)新しいロゴを批判する声も。

とは言うものの、さすがに旧来のデザインを「捨てる」気はないらしく、缶の方(写真右)では引き続き古いロゴが使用されている。

ブランドディレクターのJames Whiteley氏は声明で、「ブランドは時代とともに変化し、現代の消費者のニーズに応える必要がある」と述べた。遠回しに、伝統のロゴが“現代人に受け入れ難いもの”であることを揶揄しているとも取れる。

まあ、聖書の物語がモチーフと言われると納得せざるを得ないが、確かにあのイラストは少し不気味。多くのものは時代とともに変化してきたし、新旧両立している分、悪くない方なのでは。

しかしこのロゴ、140年前の価値観では「消費者のニーズ」に応えていたのだろうか?時代と価値観のギャップを感じさせる。

他にも世界最古を調べてみたら、何か面白いものが見つかるかも?

Top image: © Gary Perkin/Shutterstock.com
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