20秒で臓器も作れる!?宇宙用の3Dプリント技術が、革新的すぎた……。
アルテミス計画や有人火星探査の実現に向け、あらゆるテクノロジーが“後方支援”を行う現在。ここにまたひとつ、カッティングエッジな新技術が開発された。
わずか20秒!
宇宙空間用の3Dプリンター
サイエンスニュースサイト「Phys.org」の情報によると、カリフォルニア大学の学生研究チームが「Virgin Galactic 07(VG07)ミッション」の一環として「SpaceCAL」と名付けられた微小重力3Dプリンターを開発したらしい。
3Dプリンターと聞けば、なにも革新的な感覚は受けないかもしれない。が、その実「SpaceCAL」は、わずか20秒でパーツを作成できる驚異的なスピードと効率性をそなえたシロモノだという。それも宇宙空間で、だ。
高速微細造形を可能とする「Computed Axial Lithography(CAL)」は、光を使って粘性のある液体から固形物を生成する新しいタイプの3Dプリント技術。微小重力の中でも機能するため、たとえば宇宙空間において、宇宙飛行士が緊急時やオンデマンドで素早くパーツをプリントできでしまうというわけだ。
CALは長期間の宇宙ミッションに何千ものスペアパーツを持ち込む必要性をなくす可能性があるというのだから、この3Dプリンターがタダモノではないことは、宇宙開発と無縁な我々だって理解できる。
差し歯も臓器も出力可能らしい……
さらに驚かされるのは、このSpaceCAL、宇宙船のパーツに限らず歯の詰めものや差し歯、さらには皮膚移植など個人にパーソナライズしたものまで作成可能らしい。将来的には人間の臓器のプリントにも使われる可能性もあるという。宇宙船の修復だけでなく乗組員の治療にも応用となれば、いよいよ“月のさらに向こう側”が現実味を帯びてくる。
課題があれば、そこに立ち向かい乗り越えていくのが人間の性。それを支えるのがテクノロジー。約半世紀前、人類が初めて月面に降り立ったときも、きっと革新的な技術が宇宙飛行士たちを支えていたに違いない。