「天井のない監獄」を照らすベターな選択「Drink Palestina」が誕生
あなたの選択が、遠く離れた異国の「監獄」に光をもたらすかもしれない。
パレスチナとイエメンにルーツをもつ3人の友人が、先月ある会社を立ち上げた。「Drink Palestina」―――“The Better Alternative(より良い選択肢)”を掲げるドリンクメーカーだ。
The Better Alternative
“より良い選択”の意味するところ
彼らのいう「より良い選択」とはいったい何を指すのだろう?
現在、国際社会で批判されているのが、2023年10月から続くイスラエルによるパレスチナ・ガザ自治区への軍事攻撃だ。長年イスラエルの不法占拠が続く同地域は、以前から「天井のない監獄」と例えられるほど過酷な状況にあったが、いまや今世紀最悪といわれるほどの人道危機に面している。
このイスラエルへの非難の高まりとともに、ムーブメント化しているのが、親イスラエル企業へのボイコット(不買運動)だ。不買リストには数々の有名企業が名を連ねているが、特にターゲットとされているのが飲料業界。じつは、多くの企業がイスラエルのパレスチナ入植地に生産工場を持っているのではないか、あるいは、入植地で育てられた果実を原料に使用しているのではないかといった“疑い”がかけられているのだ。
「いつも飲んでいるドリンクがボイコット対象だった」
「何か代わりとなるものがなかなか見つからない……」
そんな人々の声を受けて誕生したのが、この「Drink Palesitina」。製造するドリンクには、パレスチナで倫理的に調達された原材料が使用されている。また、製造は北米で行い、売上の収益の10%をパレスチナ支援団体へ寄付するという約束つきだ。
ブランド設立後初となるラインナップは、コーラ、レモンライムソーダ、オレンジソーダ、シュガーフリーコーラの4種。既存の製品に対して代替を求める声が多いものから、商品化しているようだ。
いまだスタートアップの段階にいるため、現在は355ml缶のみの販売&入手方法は公式オンラインストアからのみ購入可能となっているが、近日中にAmazon、ローカルの小売店へと販路を広げていくと発表している。
「ボイコット」ではなく「バイコット」
“‥…Drink Palestinaの設立は、消費者が商品を購入するたびに、社会貢献ができるという新たな時代の始まりを意味します……”
代表取締役の一人はこうメディアに語った。
「Drink Palestina」へと問い合わせてみたところ、今後国際輸送も検討しているとのことで、近いうちに日本から購入することもできるようになるかもしれない、とのことだった。
ボイコットという意思表示も、もちろんアリ。だが、対象が広いと窮屈さや選択する疲れを感じてしまうことも少なくない。買って応援する選択を与えてくれるDrink Palestinaの誕生は、今もっとも歓迎されることといえるのでは?
「ボイコット」ではなく、「バイコット」。それはあなたの暮らしだけでなく、パレスチナの人々に希望をもたらすのかもしれない。