ドイツで学んだ「いくつになっても誕生日を楽しむ方法」
いつからか、誕生日にワクワクしなくなりました。
さすがに自分の誕生日を忘れることはありません。0時ちょうどには、ちょっとそわそわします。でも、幼少期のような嬉しさやありがたみがないのです。いつのまにか自分の誕生日は「ただの平日」になってしまいました。
でも、ドイツでは誕生日は何歳になっても特別なようです。
「ドイツに来てからボードゲームに誘われることが多くなった」という記事を前に書きましたが、ありがたいことにもうひとつお誘いが増えたものがあります。
そう、誕生日会です。
主役は自分で誕生会をプロデュース
日本で「誕生日会」と言うと、子どものものだと思われがちです。でも、ドイツでは老若男女が誕生日会を開きます。ここ半年だけでも、3歳から還暦までさまざまな主役たちの誕生日を祝ってきました。
ちなみに、ドイツ語には30歳、40歳、70歳などキリ番の誕生日を示す「runder Geburtstag」という言葉もあります。普段は誕生会を開かない人も、このキリ番には誕生日会をすることが多いようです。
ドイツの誕生会は、基本的に自分でプロデュース。家に友人を招待し、手料理を振るまったりケーキを焼いたりします。
もちろん、シンプルにレストランやバーでお祝いすることもあります。そういう場合は、たいてい飲み会形式です(ある友人の誕生会は朝9時からカフェのモーニングビュッフェでした。誰かのお祝いのための早起きは気持ちいいものです)。
招待された側は何をするかというと、カードとプレゼントを持っていくだけです。招待者同士で割り勘して贈り物を買うこともあります。
あとは、もう誕生日会を楽しむのみです。
侮れない誕生日会の可能性
この誕生日会、なかなかに自分の世界を広げてくれます。
まず、誕生日会は人との出会いの場です。主役は普段自分がお世話になっている人たちに声をかけるので、誰かの誕生日会に行くと「はじめまして」をすることが多くなります(絶対ではありません。なかには「友だちグループ」ごとに3回開いたという強者もいました)。
同世代の飲み会やビジネス関連のパーティーと違って、まったく違う年代や職業の人と話すこともあります。これが交友関係やビジネスのネットワークを広げるきっかけになるのです。友だちの誕生日会をきっかけに知り合った、なんてカップルの話もたまに耳にします。
出会うのは人だけとは限りません。場合によっては、新しい経験との出会いにもなります。
前述のとおり、誕生日会はホームパーティーや飲み会になることがほとんどです。でも、たまに何かしらのアクティビティをする人もいます。みんなで映画館に行ったり、家で「B級映画ナイト」を開いたり、ボードゲームやボーリングをしたり。普段行っているボルダリングジムでは「これから誕生日会の予約が入っているから混むよ」と警告されたこともあります。
またある人の誕生日ではサバゲーに招待されました。きっかけがなければ挑戦しなかっただろうサバゲーですが、膝にあざをつくりながらもすっかり気に入りました。
そんなこんなで、誕生会にはなかなか侮れない可能性があるわけです。
誕生日と平日の違い
ドイツ人の友人に言わせると、誕生日は「好きな人たちと過ごす機会であり、日頃の感謝を表す場」だそうです(まあプレゼントも嬉しいけどね、とその人は付け加えました)。
だとしたら、きっと友達や自分が楽しめる場所を全力でプロデュースするという行為そのものが、「誕生日」を「ただの平日」から差別化する要因なのでしょう。
ただ、ドイツには誕生日会を開かなくてはいけないというプレッシャーもないように感じます。当然ながら、その人がいちばん居心地のいい形で誕生日を迎えるのがいいのであって、ひとりでも、誕生日会を開かなくても、本人が楽しければそれが良い誕生日なのです。
ちなみに今年の自分の誕生日はというと、ちょうど日本への一時帰国とかぶっていました。それが幸運で、高校の友人たちにはサプライズをしてもらい、家族や普段お世話になっている編集者さんにまでお祝いしてもらいました。
誕生日は、いくつになっても楽しくなる。来年は日頃の感謝を込めて自分で誕生会を開いてみようかな、と計画を練っているところです。