旅行中の「スーパー巡り」がZ世代のあいだでキテるらしい

旅先での楽しみ方は千差万別。遺跡名所を巡ったり、美術館や博物館を訪問したり、ショッピングやグルメだって醍醐味のうち。

そのなかで、じつは最近、訪問地の“リアルな魅力”を体験するのに、現地のスーパーマーケットを訪れるという楽しみにZ世代たちが気づき始めたらしい。

旅先のスーパーを巡る
「Grocery Store Tourism」

旅慣れた人たちからすれば、訪れた国のスーパー巡りなんてさほど新鮮味がないかもしれない。どこの国でいちばんおいしい〇〇が買えるか、といった“ローカル情報”をこっそり共有してきたりもしただろう。

では、最近のZたちはどうか。TikTokを中心に新たなトレンド「Grocery Store Tourism」という新たなトレンドが起きている。これをきっかけに、さらに多くの人たちがスーパー巡りという悦楽に興じているようだ。

@caroluzitus Traveling with people who view grocery stores abroad as a cultural experience > #travel #grocery #abroad #france #vanlife #fy ♬ ladyfingers - ‍‍‍‍‍‍‍‍‍‍chop
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スーパーはその土地の
“現在”を映す鏡

FOX 5 New York / YouTube

「Grocery Store Tourism」のトレンドを米テレビ局「FOX 5」も取り上げる。上記ニュース内に登場するTikTokユーザーのマリッサ・インチナさんもマレーシアでのスーパー巡りを動画にアップする一人。

文化的な体験のみならず、お土産にぴったりなものがたくさん見つかることを理由に挙げ、彼女はこう強調した。「議論は分かれるところでしょうけど、旅行中にやるべき最高のアクティビティは現地のスーパーを訪れること」。

“Traveling with people who view grocery stores abroad as a cultural experience”。最近、こんなフレーズもTikTokでよく用いられるようになった。旅先のスーパーを訪れることを、Zたちは「文化的体験」として捉えるということだろう。

ただ、彼らよりも上の世代からすれば、「スーパー巡り」はなにも新しいトレンドではない。現地でAirbnbをはじめバケーションレンタルを利用すれば、当然ながらスーパーへと赴くだろうし、バラまき土産を買う目的にもこれまで活用してきたはず。そこに今、Z世代が文化的価値を見出し、夢中になっているというのがおもしろい。

「スーパーから見る世界」が
新しい旅の楽しみ方になる

もちろん、文化的体験というだけでもないはずだ。

その土地のカルチャーだけでなく、食トレンドや陳列の仕方から売れ筋商品を理解することもできれば、生鮮コーナーからはその土地の一次産業の特徴を識ることもできる。長引くロシアとウクライナの紛争による貿易制限が商品に与えている影響や、気候変動がオレンジジュースに与えた影響なども売り場から見えてくることだってあるだろう。

大げさな言い方をすれば、スーパーはその国の縮図でもある。

だからスーパーでの買い物は、単なるショッピングにとどまらないのではないだろうか。その国の、その土地の文化に観光客である自身が入り込み、商品を通して訪問国への理解を深める。そういった価値体験に若者たちが気づき、彼らなりの方法でその体験をシェアしている。「Grocery Store Tourism」トレンドをこう捉えてみると納得がいく。

訪れた国の“普段着の魅力”を発見しにスーパーへ──。当たり前に思えていたスーパーの利用が、新しい旅のスタイルとして、Z世代から広がろうとしている。

Top image: © iStock.com/Moyo Studio
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。