夜を愛する旅行家たち、新たな旅のトレンド「ノクターナリズム」とは
日中の観光地巡りもいいが、日が沈んだ後にこそ現れる、特別な魔法のような瞬間がある。
ノーザンライトを追いかけ、月明かりのマーケットを散策し、夜行性の野生動物を観察する──
「ノクターナリズム(夜間観光)」と呼ばれるこの旅のスタイルは、新しい視点と体験を求める旅行者の間で、静かな広がりを見せている。
『Huffpost』がその魅力と注意点を専門家の意見と共に報じた。
天体観測からナイトサファリまで。
日没後に焦点を当てた新たな旅のスタイル
ノクターナリズムとは、日没後の目的地やアトラクションの探訪に焦点を当てた旅の形態。
天体観測や月明かりの下での野生動物サファリなどがその代表例だ。
Booking.comの調査によると、2025年の旅行トレンドとして、アメリカ人の59%が天体をテーマにした旅行を検討しているという。
旅行会社のTauckでは、2026年に催行予定の北極圏クルーズが価格発表前に完売するなど、その人気はすでに具体的な需要となって現れているようだ。
混雑や暑さを避けるメリットや地域経済への貢献も
夜間の観光には、多くのメリットがある。
まず、日中の暑さや混雑を避けて、人気の観光地を静かに楽しむことができるのだ。
Intrepid TravelのLeigh Barnes社長は、「ケニアでのナイトサファリやアタカマ砂漠での星空観測など、日没後の体験はしばしば最も記憶に残るものになります」と語る。
さらに、観光客の支出が日中だけでなく夜間にも広がることで、訪問先の地域経済にも貢献する。
Booking.comの調査では、多くの旅行者が光害の少ない宿泊施設を好む傾向にあり、環境への負荷が少ないという側面も持つ。
安全確保と事前のリサーチが鍵
一方で、夜間の活動にはデメリットや注意点も存在する。最も大きな懸念は、盗難や事故といった安全性だ。
また、夜間に営業している施設は限られるため、日中の観光よりも入念な計画が必要となる。
ノーザンライトの観測を例に挙げると、最適な場所や時期、天候など、多くの要素が絡み合う。
専門家は、こうした体験を最大限に楽しむためには、事前に科学的な背景を学んだり、オーロラ予報アプリを活用したりといったリサーチが不可欠だとアドバイスしている。
また、個人での計画が難しい場合は、信頼できるツアー会社を利用することも有効な選択肢となるだろう。






