世界の見え方が変わる「不適切な地名」を教えてくれるアプリ
地名を文化的背景から分析する「STNAMES LAB」が、特定の人種やコミュニティに対する差別表現を含む名前の道・通りを、地図上に表示するアプリを開発した。
展開地域は北米、ヨーロッパ、スペイン。ユーザーが特定の差別用語や表現を検索すると、その単語を名称に含む通りが地図上に出現するという仕組み。ネイティブコミュニティやマイノリティへの偏見が、いかに私たちの日常生活に浸透しているのかを教えてくれる。
誰がその名をつけたのか?
潜在する植民地主義
地名というのは、植民地時代の支配者側により名付けられたものが多い。ゆえに、人種差別的であったり、特定のコミュニティに誤ったイメージを植えつけるような表現を含んでいることもあり、いまだに迫害を受けた人々に精神的なダメージを与えていることもあるのだそう。
実際、「全米部族歴史保存責任者協会」と土地保護団体「Wilderness Society」は、2022年の報告書において、差別的な地名は一部の人々が避けたいと感じる、歓迎されない環境を作り出す可能性があることを指摘。同年発表のEmory Unniversityのレポートでも、奴隷制を支持していた南部連合の人物の名にちなんだ通りにある家は、近隣の道路にある同じ規格の家よりも売値が安く、売却に時間がかかると報告している。
変化を起こすために
“不適切”を可視化
地名に潜む植民地主義的な思想に苦しむ人々がいる。その苦痛を終わらせるべく、近年では欧米を中心に地名変更の動きが盛んになりつつある。が、人々の意識向上こそが解決の近道とSTNAMES LAB。
ポリコレ的にNGな地名はどのように分布しているのか。誰かどこで差別と戦ってきたのか。それを可視化させることで、実態を知り、コミュニティに寄り添う姿勢を一人でも多くの人へと増やしたい。同アプリ誕生の背景はそこにある。
地図に広がる“不適切な名前”。その検索が、あなたの見える世界をいっそう広げ、深いものへと変えていくかもしれない。