東京都の「パートナーシップ制度」はなぜ人気?

今から約2年半前の2022年2月14日、東京都は同性カップルを公的に認める「東京都パートナーシップ宣誓制度」の素案を公表し、同年11月に正式に施行した。

過去にも取り上げたこの制度は、都内在住もしくは在勤・在学者で、事実婚を含めて配偶者のいない18歳以上の成人同士が対象。人生のパートナーとしてお互いを尊重し、日常生活において継続的に協力し合うことを宣誓したカップルに証明書が発行されるというもの。

同制度に法的拘束力はないものの、公営住宅への入居や公立病院での面会・手術の同意などができる可能性があるほか、民間企業でも証明として認められるなど、さまざまなメリットがある。

都の制度整備に先駆けて、2015年には渋谷区と世田谷区がパートナーシップ制度を導入し、今では都内13区、11市が導入している。

都の制度人気のワケは
オンライン申請&提出書類の少なさ

そのパートナーシップ宣誓制度が今、大きな注目を集めている。

ゲイ専用結婚相談所「ブリッジラウンジ」の調査によると、各自治体におけるパートナーシップ制度の年間平均申請組数が87組なのに対して、都の制度は645組と約7倍の申請があるという。

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具体的には2022年から順に654組、1139組、1290組となっていて、自治体の制度よりも都の制度の方が魅力的に映っているようだ。では、なぜ都の制度がここまで人気なのか。

その一つが手続きのハードルの低さだ。各自治体の制度には、それぞれ異なる書類が必要で、渋谷区、江戸川区、港区、杉並区では公正証書が必要だが、都の制度では不要。必要書類が少なく、申請窓口が原則オンラインであることも人気の理由だろう。さらに、都と連携協定を締結した都内自治体の発行するパートナーシップ証明書等を、受理証明書同様に都の事業等にも活用できる仕組みも作られている最中だという。

とはいえ、前述したようにこの制度に法的拘束力はない。同性婚が認められていない日本においては、異性愛者の婚姻制度のように完全な権利保護がされていないという事実は変わらない。それでも、パートナーシップ制度の導入は性的マイノリティが等しく権利を享受できる、あるいは選択肢を得られるようになる過程での大切な一歩となっている。

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