「不妊白書2024」 働き方改革の影で進む、もうひとつの不平等
「子どもは欲しいけど、タイミングが……」
そんな会話が、友人との間で当たり前のように交わされる時代。晩婚化や女性の社会進出が進むなかで、「不妊治療」は決して他人事ではなくなっている。しかし、治療と仕事の両立、周囲の理解不足など、多くの“見えない壁”に直面する現状も存在する。
9割以上が経験する
治療による仕事への影響
NPO法人Fineが発表した「不妊白書2024」によると、不妊治療経験者の93.2%が、「治療のために仕事や予定に支障をきたした経験がある」と回答している。治療には、通院の頻度や体調の変化など、仕事との両立を難しくするさまざまな要因が潜んでいる現実が見えてくる。
同調査では、企業による休暇制度やフレックスタイム制など、サポート制度の導入自体は進んでいる現状も明らかに。いっぽうで、制度の認知度不足や利用しづらさ、周囲の理解不足などから、多くの当事者が、働き方を変えざるを得ないという現実も浮き彫りになった。
「制度」の先にあるもの
真に必要なサポート体制とは?
近年、政府が推進する「働き方改革」は、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を促進するものであり、不妊治療にもプラスの影響を与える可能性を秘めている。しかし、真に求められるのは制度の整備だけではない。「不妊白書2024」の自由記述欄には、「通院時間の確保」「体調の変化への理解」「精神的なサポート」など、数値化しにくい見えない配慮を求める声が多数寄せられた。
誰もが働きやすい社会へ
企業は、法令遵守の意識で制度を導入するだけでなく、当事者が実際に利用しやすい環境づくり、そして不妊治療に対する正しい知識の啓蒙活動が重要となる。また、個人レベルでも偏見や固定観念を捨て、不妊治療というデリケートな問題に向き合うことが求められる。職場やプライベートで、当事者の声に耳を傾け、自分にできることを考えてみてほしい。
「不妊白書2024」は、私たちが目を背けてはならない社会問題を浮き彫りにした。この調査結果をきっかけに、誰もが働きやすい社会の実現に向けて、共に歩みを進めていきたい。
👀GenZ's Eye👀
「不妊白書2024」は、私たちが目を背けてはいけない社会問題を突きつけます。晩婚化が進むなかで、身近な問題となりつつある不妊治療。仕事との両立や周囲の理解不足など、多くの課題に直面する現状が明らかに。政府が推進する「働き方改革」は、治療と仕事の両立を本当に後押しするのでしょうか?誰もが働きやすい社会を実現する、言うは易しで終わらないために、次のアクションを社会全体で考えていきたいものです。