3人に1人が嘘をつく 「いつわり就活」のリアル

自己PRや、学生時代に力を入れたこと……何度も聞かれ、何度も考え抜いたはずなのに、口をついて出る言葉はどこか空虚で、自分でも誰に話しているのか分からなくなる。 就職活動という長く険しい道のりのなかで、そんな経験をしたことがある人は少なくないはず。

じつは、最近の調査で就活に違和感を覚えたと回答した就活経験組が8割近くいることが判明した。

3人に1人が嘘をつく。
「いつわり就活」のリアル

©特定非営利活動法人キャリア解放区

特定非営利活動法人「キャリア解放区」が、就職活動経験のある大学4年生(2025年3月卒予定)および新卒1年目(2024年3月卒)100名に対し、Z世代の就職活動に関する意識調査を実施。顕著な回答として、就活経験者の80%が「就職活動をしていて変だと感じたり、違和感を持ったりしたことがある」と答えたそうだ。

同調査で明らかになったのは、就活というシステムのなかでは自分自身を偽り、上手に演じなければいけないという現実だ。就活経験者のじつに29%が面接やエントリーシートで「話を盛ったり」「ESをコピペしたり」といった、“いつわり就活”を経験しているそう。

なかでも「エントリーシートや面接で話を盛った」と回答した就活経験者は18%、「第一志望ではないのに、第一志望だと言った」と回答した人は17%にのぼる。企業が求める理想の就活生像に自分を無理やり当てはめようとするあまり、本来の自分を見失ってしまう……そんな就活生の姿が目に浮かぶ。

「個性を活かせ」は幻想?
蔓延する「陽キャ有利」の風潮

企業は「自分らしさを大事に」と言うわりに、「わかりやすい陽キャ」ばかりに得を与える節があるのではないか。これは、同調査で31%の就活経験者が感じているという“違和感”に直結する部分でもある。明るいキャラクターが評価されるいっぽうで、物静かな人や引っ込み思案な人は不利になる。そんな経験談は、もはや都市伝説ではないのかもしれない。

個性や多様性が叫ばれる時代、就活の現場でも本当に大切なのは、一人ひとりの個性を認め、活かせるかどうか。「新卒で採用されないと、人生の失敗だと見なされる」「就活をやめたら、普通のレールに戻れなくなってしまう」。これらの不安を抱えている就活経験者がそれぞれ20.0%、15.0%にものぼることも判明した今回の調査。

日本では、依然として新卒一括採用制度が主流だが、近年では就活ルール見直しの動きやジョブ型雇用の導入など、変化の兆しも見え始めている。新卒という枠にとらわれず、個人のスキルや経験を重視する採用が広がりつつある今、自分らしいキャリアを描くための選択肢は、確実に増えつつある。

👀 GenZ's Eye 👀

自分をよく見せようという思いが、履歴書や面談中に“盛る”行為につながっているのは言わずもがな。自己アピールの上手さもたしかに必要かもしれないけれど、本来的な面談の目的はお互いのことを知り、合うかどうかを確かめ合う場のはず。とはいえ、企業面接というものは往々にして……と、経験談のなかで思うところもあります。従来の価値観に囚われてばかりではなく、自分らしさを思い切って貫ける社会の広まりに期待したいです。

Top image: © iStock.com/tIgor Suka
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