SCP、なんと児童文学として発売が決定

静かに、しかし確実にファンを増やしつづける「SCP」。

2007年に海外の匿名掲示板から生まれたこの世界は、今や単なるインターネットミームの枠を超え、ゲーム、動画、そして文学の世界へと着実にその領域を広げている。

異例のヒット、「児童向けSCP」という新たな潮流

「SCP」とは、「Special Containment Procedures(特別収容プロトコル)」の略称。自然法則に反した異常な存在、オブジェクト、現象などを指し、それらを秘密裏に収容し、研究する組織「SCP財団」の活動記録という体裁で語られるのが特徴だ。

これまでネット上でコアなファンを獲得してきた「SCP」だが、近年ではYouTubeのゲーム実況動画などを通して子どもたちの間にも浸透しつつある。

ポプラ社によると、2023年10月に西東社から刊行された『大迫力!異常存在SCP大百科』は発売と同時に大きな話題となり、異例のスピードで重版が決定。続編となる『大迫力!異常存在SCP大百科2』(2024年7月刊行)も好評を得ており、児童向けSCP市場も盛り上がりつつあるという。

ついに「児童文学」の世界へ

そして、この流れはついに児童文学の世界にも波及する。

2024年12月、ポプラ社より『SCPハンター シャイガイを確保せよ!』が刊行されることが発表。これが、日本初の児童向けSCP小説となる。

予約開始とともにSNSで話題となり、Amazonの児童向けSF部門では予約開始からわずか1週間で1000件以上の予約数を記録。発売前から異例の注目を集めている。

見たら、最後。
題材となった“シャイガイ”とは

『SCPハンター シャイガイを確保せよ!』は、SCP財団の施設から脱走した「シャイガイ」と呼ばれる危険なオブジェクトを、特殊能力を持った少年少女3人組が追跡するというストーリー。

シャイガイはその名の通り、基本的には姿を表さない恥ずかしがり屋な性格だが、一度でもその顔を見てしまうと、地の果てまで執拗に追いかけ回し、命を奪おうとする恐ろしい存在である。

この「見たら、最後」という特徴は、インターネットにおける誹謗中傷や、一度拡散されると消すことのできないデジタルタトゥーなど、現代社会の闇とどこか重なる部分もあるように思える。

ネットで生まれた都市伝説として、ある種の教訓を与えてくれるかもしれない。

©株式会社ポプラ社

児童向け作品は、ネットミームに新たな扉を開くか

同書は、巻頭にあらすじページや人物紹介ページが設けられており、SCPに触れたことのない子どもでも楽しめるよう工夫されている。巻末には世界観をより深く理解するための用語解説も収録。SCPの入門書としても最適な一冊と言えるだろう。

古くはネットミームから派生した児童小説は、子どもの想像力や感性を高める媒体として、新たな扉を開くかもしれない。

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👀 GenZ's Eye 👀

まさかあのSCP財団が、小学生にまでSCPの存在を教えてくれる日が来るなんて……(震)人間でも動物でもない「ナニカ」であるという異形性は恐怖を呼び起こすとともに、子どもたちに「もっと知りたい」という興味を引き立てます。この“恐怖×興味”こそが、子どもたちの間でSCPが流行る理由なのかもしれませんね。ちなみに筆者はSCP-173がお気に入りです。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。