インスタをも超える。ワードゲームの人気が凄いことになってます

AI、サウナ、メタバース……。目まぐるしく変わるZ世代のトレンドに新たなホットトピックが加わったようだ。

今、アメリカの若者を中心にワードゲームにハマる人が続出している。

ワードゲームって文字をつなぎ合わせて単語をつくる、新聞とかでよく見るアレ?その通り。コロナ禍の巣ごもりの“おとも”として脚光を浴びて以来、人気は急上昇。中でも「Wordle」、「Mini Crossword」など「New York Times」が展開するシリーズが人気なようで、2023年の同社のパズルゲームの総プレイ数は、脅威の80億回を突破。前年の二倍にもなるというのだから驚きだ。

ワードゲームで
輝かしいキャリアを築く人も

数からもその盛り上がりがうかがえるが、ワードゲームは人々のキャリアにも影響を及ぼしているようだ。たとえば、24歳のSavannah DeLulloさん。

© dailyxsav/TikTok

パズルゲームで遊ぶ様子を毎日TikTokにアップしていたDeLulloさんは、またたく間に180万人以上のフォロワーを有するインフルエンサーに。現在は「New York Times」にてWordleについてのコラムを寄稿するなど、パズルゲーム界のアイコンとして活躍している。

パズルゲームで思いがけず有名になった人は他にも。

WordleのエディターであるTracy Bennettさんの元には、本職に就任するとすぐにテレビ局から取材のオファーが。登場するTikTokはいつも好評で、なかには100万再生を記録するものまであるという。もともと内向的な性格だという氏は、「大変な仕事についてしまった」と『DAZED』のインタビューで正直な気持ちを吐露しているが、制作側としては嬉しい悲鳴といえるだろう。

@thegamesteam The Wordle queen herself shares some M-A-G-I-C moments ✨ #nytwordle #wordletok #nytgames ♬ original sound - thegamesteam
© thegamesteam/TikTok

ここまで大流行の理由はどこに?

ところで、ワードゲームというと「リタイア族の暇つぶし」といった、どこか野暮ったいイメージを抱く人もいるはず。それが、いったいどのようにして今日のトレンドへと発展していったのか?

実際にプレーしてみると、ワードゲームには従来のスマホアプリとは違う楽しさがあることに気がつく。

我々の多くがスマホを手に持つとある意味“脳死状態”に陥るが、ワードゲームはまさにその逆。(めったに使わなくなった)左脳を刺激し、スマホに触れながらも満足度の高い時間を提供してくれる。

「これまでは暇つぶしにSNSを見ていたが、今はもっぱらワードゲーム!」という人も少なくないそうで、人々の“SNS断ち”にも大きく貢献している様子。嘘か真か、Xにはあのセレーナ・ゴメスがワードゲームの解答が済んでいないので、今日はInstagramをお休みする、なんてミーム投稿も上がっている。

© poocrave/X

ワードゲームには
現代人が失ったものが詰まっている

大人気の「Wordle」についても触れさせていただきたい。

プレーヤーが遊べる回数は一日に一回だけで、ここで提示される問題は「今日のワード」のみ。物足りないと感じる人もいるかもしれないが、コンテンツが絶え間なく流れてくる社会に疲れ始めた我々にとって、じつはこの設計こそ、まさしく適量と呼べるのかもしれない。

特筆すべきは「今日のワード」がAIによってカスタマイズされているのではなく、文字通り専門のクリエイターがその日一日のためだけにつくっているという点。プレイヤーはみな同じ課題に挑み、「今日のワード」について感想を言い合ったり、繋がりにくいサーバーについて愚痴をこぼしたり…‥。ゲームをきっかけにプレイヤー同士がつながり合うこともあるようだ。

つまるところワードゲームは、デジタルにおいても現実世界においても“共通の話題”となり人々をつなげている。ここが秀逸。

© bransennn/TikTok

これまで数多のデジタルコンテンツが台頭してきたが、ことワードゲームは他とは様子が異なるように思えてならない。

スマホで時間を潰していることには変わりはない。が、凝り固まった脳への刺激、情報過多の現代社会からの解放、そして人とのつながり……ここ数年で我々が失ったものがそこにはある。もしかするとワードゲームのトレンドは、Z世代のみの一過的な流行りにとどまらず、人間回帰を意味している。こう考えるのは、いささか解釈が過ぎるだろうか。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。