膨大な手術動画から学習、AI手術ロボットが外科医のスキルを完全習得したことを発表
近年AIの進化は目覚ましく、私たちの生活のさまざまな場面でその存在感を増している。それは、医療現場においても等しい。
ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは、熟練外科医の手術動画を学習したAI搭載ロボットが人間と同等の精度で手術を行うことに成功したと発表した。近い将来、SF映画で観たような手術風景が現実になるかもしれない……。
手術AI開発のカギは
人間の動きの「模倣」にあり
米ジョンズ・ホプキンス大学が発表した論文によると、この手術ロボットは「模倣学習」という技術を用いて開発。これは、人間の熟練外科医が行う手術の様子を撮影した動画をAIに学習させることで、ロボット自身も同様の繊細な手術操作を習得するという画期的なものだ。
研究チームは、世界中の外科医によって記録された膨大な量の「ダビンチ手術」の手術動画をAIに学習させた。その結果、ロボットは人間の医師のように針を操作し、組織を持ち上げ、縫合を行うといった基本的な手術タスクを、高い精度で実行できるようになったという。
変わりゆく手術室
ロボ外科医と人間の協働
同大学によると、この手術ロボットは現在世界で7,000台以上、5万人以上の外科医が使用しているダビンチ手術システムにも容易に統合できるという。近い将来、あなたの隣で手術を執刀する医師は、もしかしたらAIを搭載したロボットかもしれないというわけだ。
この技術が実用化されれば、医師不足の解消や手術の標準化、そして人間の能力を超えた精密な手術の実現など、さまざまなメリットが期待される。また、遠隔手術の可能性も広がり、地理的な制限なく高度な医療を受けられるようになるかもしれない。
医療AIは、医師の仕事を奪うのか?
しかし、AIロボットの台頭は医師の仕事を奪う脅威となるのだろうか?それはまだわからない。むしろ、AIロボットは医師の負担を軽減し、より高度な医療の提供を可能にするパートナーとなる可能性を秘めている。
AIロボットが手術の一部を担うことで、医師はより複雑な症例や、患者とのコミュニケーション、研究活動などよりクリエイティブな仕事に集中できるようになるかもしれない。医師とAIロボットがそれぞれの得意分野を活かして協力することで、医療の質はさらに向上するだろう。
「模倣学習」によって進化を続ける手術ロボットは、私たちに医療の未来を予感させる。それは、人間とAIが共存し、共に発展していく未来と言えるだろう。
👀GenZ’s eye👀
AIによって扱えることは医療だけにとどまらない。楽曲制作や文章も生成することができるようになっており、接客はAIを駆使したロボットを目にするようになってきた。
しかし、どれをとってもAIによる仕事は「模倣」。今後どれだけAIが発達して人間の正確な真似が出来るようになったとしても、私たちZ世代は0から1を生み出すという人間としての意味を忘れず、未来に向けた仕事をしていかなければならないと感じる。