放射能を帯びた「史上最も危険」な玩具、オークションで60倍の価格で取引
最新ゲーム機に、キャラクターグッズ。12月も中旬に入り、そろそろ子どもたちに贈るクリスマスプレゼントの準備を始める方も多いのではないだろうか。
時代の最先端が求められるホリデーシーズンだが、70年ほど前は、現代の常識では考えられない危険な玩具が子どもたちの手元に届いていた。それが、「放射性物質を含む玩具」だ。
時代ならでは……
ウラン鉱石をあしらった玩具
アメリカの週刊誌「Newsweek」によると、1950年代にアメリカで販売されていた「Gilbert U-238 Atomic Energy Laboratory(ギルバートのU-238原子力研究室)」は、なんと本物のウラン鉱石がセットになった科学玩具。
当時の販売価格は$49.50、現在の価値に換算すると約$650もする高額商品である。ガイガーカウンターや霧箱など、本格的な実験器具が揃っていたことからも、いかに原子力に期待が寄せられていた時代だったかが伺える。
期待と不安が同居した原子力時代
1950年代のアメリカといえば、マンハッタン計画の成功により、原子力への期待と不安が入り混じる時代。明るい未来を予感させるいっぽうで、核実験による放射能汚染の現実も突きつけられていた。
「Gilbert U-238 Atomic Energy Laboratory」は、そんな時代の空気を反映した象徴的な存在と言えるだろう。子どもたちの好奇心を刺激し、科学の未来を夢見ていた玩具開発者アルフレッド・ギルバード。しかし、皮肉にも彼の玩具は、安全に対する意識の低さを露呈する結果となってしまった。
高まるヴィンテージ人気
過去の過ちから、何を学ぶ?
現在、同商品はコレクターのあいだで高値で取引されている。今回オークションに出品されたセットは、開始価格が$3,045、当時の販売価格の約60倍に跳ね上がっているという。
ヴィンテージアイテムの人気が高まる昨今、希少価値の高い製品には当然高額な値がつく。しかし、今回の「放射性物質を含む玩具」は、倫理的な観点から批判的な議論を呼ぶ可能性もある。
核問題や平和への意識が高まる現代において、私たちは過去の過ちから何を学び、未来へ繋いでいくべきなのだろうか。