ジェフ・ベゾス「史上初の民間宇宙旅行」、同行するのは......
Amazonの創設者で、世界一の資産を誇るジェフ・ベゾス。
自身の宇宙開発企業「ブルーオリジン」を設立し、約20年にわたって宇宙開発を手がけてきた彼が、ついに宇宙へと旅立つ日が近づいている。
6月7日に「ブルーオリジン」が開発した宇宙船「ニューシェパード」に自身を含めた6人が搭乗する“宇宙旅行”の実施を発表したベゾスだが、その同伴者の中の一人に、興味深い人物がいた。
彼女の名はウォリー・ファンク。1960年代に頓挫した計画、「マーキュリー13」に選ばれたパイロットの一人だ。
「マーキュリー13」は、当時男性パイロットしか募集しなかったNASAの「マーキュリー計画」に対して、ウーマンパワーを証明するために始まった民間のプロジェクト。
厳しい試験と訓練を積んだ13人の女性が選ばれ、宇宙へと飛び立つ計画が進められたものの……当時は女性差別が顕著だった時代。「女性パイロットは必要ない」とするNASAによって突如打ち切りとなり、彼女たちの夢は奪われてしまった。
差別によって一度は夢を絶たれたファンクさんだったが、この度「ブルーオリジン」の歴史的な大旅行によって、再び夢を叶えるチャンスがきたわけだ。
動画を見ると、ベゾスからのお誘いを聞いた彼女は大喜び。60年前の熱意を取り戻し「誰もしたことがないことをやりたい」と語った。
なお、現在ファンクさんは82歳。もし宇宙圏への到達に成功すれば、史上最高齢の記録更新となる。ちなみに、現時点での記録は98年に宇宙飛行士のジョン・グレン氏が「STS-95」計画で打ち立てた77歳という記録。
このグレン氏こそ、かつて「マーキュリー計画」で宇宙を飛行したその人。さらに夢を奪われた「マーキュリー13」に対して「男性たちは戦場で飛行機を操縦し、宇宙船の設計や製造検証に手を貸しました。女性の無関与こそ我々の社会秩序の事実です」と言い放った、ある意味因縁の相手。
実現すれば、“老若男女を問わず”宇宙へと飛び立てる時代が訪れたとも言える。あらゆる意味で差別がなくなり、宇宙への憧れを一層強めてくれそう。
60年の時を経て、女性の権威が認められた時代が訪れ、ようやく宇宙飛行の夢が叶う......なんともロマンチックな話ではないだろうか。無重力の世界から帰還したファンクさんの第一声が今から楽しみで仕方ない。
なお、飛行は7月20日を予定している。