持続可能な子どものおもちゃ。「サブスク修理キット」

「壊れたものは、捨てる」。 現代社会では、そんな行動様式が当たり前になっているのかもしれない。しかし、もし、子どもたちが幼い頃から壊れたものは、直して使うという経験を通して、モノを大切に扱う心を育むことができたなら?

近年、欧米を中心に広がりを見せる「修理する権利」や、デジタルネイティブ世代への新しい教育機会として注目される「STEM教育」。 今、世界で注目を集めるこれらのキーワードを、遊びを通して自然に学べるサービスがあるという。

届いたのは“壊れた”ゲーム機
子どもの好奇心を刺激する
「サブスク修理キット」

「修理」して「遊ぶ」を叶えるのは、イギリスの企業「team.repair」。なんでも、壊れた電子機器を修理して遊ぶ、子ども向けのユニークな修理キットを開発したそうだ。月額のサブスクリプションに登録すると、自宅にキットだ届く仕組み。

興味深いのは、子どもたちに届けれらるのは最新のゲーム機ではなく、あえて“壊れた”レトロ品だったり、ラジコンカーといった電子機器であるということ。「IDEAS FOR GOOD」の記事によると、子どもたちは付属する工具や、動画、専用アプリを使って、自らの手で修理に挑戦するという。

遊びが「学び」に変わる
未来への投資

team.repairが提供するサービスの真価は、単なる修理体験にとどまらない。 同社は、「修理」という行為を通して、子どもたちが電子機器の仕組みを理解し、問題解決能力や創造性を育む一助となることを目指している。

現代社会において、テクノロジーへの理解を深め、問題解決能力を身につけることは、子どもたちの未来の可能性を広げるうえで、非常に重要。team.repairのサブスクリプションサービスは、遊びを通して、これらのスキルを自然と身につけられる、まさに「未来への投資」と言えるのではないだろうか。

すでに同プログラムは6,000人以上の子どもたちに提供されたらしい。さらに、使用済みのキットを回収し、再利用する循環型モデルも採用している点にも注目したい。 

環境問題への意識が高まる現代において、子どもたちに「モノを修理し、長く使う」という価値観を伝えることは、持続可能な社会の実現に向けても、重要な意味を持つと言えるだろう。team.repairの取り組みは、次世代教育の新たな可能性を示すとともに、私たちが未来に向けて進むべき道を、明るく照らしてくれているのかもしれない。

Top image: © iStock.com/Kerkez
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