ベトナム初となる「地下鉄」が開業。支えるのは日本の鉄道技術!
東南アジアの熱気と喧騒、そして混沌とした街並みが魅力のベトナム南部の都市、ホーチミン。そんな街に、2024年12月についに地下鉄が開通した。
長年の夢を実現させた街の熱狂は想像に難くない。しかし、これは単なる交通インフラ整備にとどまらない。そこには、東南アジア諸国が直面する課題解決と、未来へ向けた大きな可能性が詰まっている。
「日本品質」が支える
快適で安全な移動体験
「JICA(国際協力機構)」の発表によれば、このホーチミン市都市鉄道1号線は、構想から開業まで実に20年以上をかけた巨大プロジェクト。日本の円借款事業として、日本の技術とノウハウが惜しみなく投入されている。
市中心部のベンタイン駅から市北東部のスオイテイエンターミナル駅まで、総延長19.7km、全14駅を繋ぐ路線のうち、2.5km(3駅分)はベトナム初となる地下鉄区間だそう。街の風景を一変させるほどのインパクトであることは想像に難くない。
信号システムには日本の標準規格を採用。高品質で知られる日本の鉄道技術が、安全・安心な運行を支える。駅構内も日本のノウハウが満載だ。転落防止のためのスクリーンドアが導入され、バリアフリー設計など、利用者の視点に立ったきめ細やかな配慮が光る。
特筆すべきは、地下駅のデザイン。各駅周辺の街並みに調和するデザインを採用、機能性と景観の融合を実現している。単なる移動手段としての駅ではなく、街の新たなランドマークとしての役割も担う。
モータリゼーションの波、そして……
地下鉄がもたらす都市の持続可能性
経済成長著しい東南アジア諸国では、自動車の急増に伴い、交通渋滞や大気汚染が深刻化している。ホーチミンも例外ではない。
この問題に対し、都市鉄道は有効な解決策となりうる。人々の移動を効率化し、オートバイや自動車への依存度を減らすことで、渋滞緩和、大気汚染改善、CO2排出量削減といった効果が期待できるだろう。
「移動」の先にある未来を創造する
ホーチミン市都市鉄道1号線は、日本の技術と想いが込められた、未来への希望を乗せたいわば「動く街の顔」。そして、それは同時に、東南アジア諸国が抱える課題解決への、ひとつの明確な回答でもある。
この成功事例は、今後、同様の課題を抱える他の都市にとっても大きな希望となるに違いない。そして、持続可能な社会の実現に向けて、世界が共に歩むための、力強い一歩となることを願って。