がん治療患者の声から生まれた希望。「Oisix」のレシピカード改革

健康的な食生活への関心が高まる現代において、食事宅配サービスは欠かせない存在になりつつある。なかでも、「オイシックス・ラ・大地株式会社」が展開する「Oisix」は、安心安全な食材へのこだわりと、多様なニーズに対応するサービス展開で人気を集めている。

2024年5月、同社は新たな取り組みとして、がん治療中の患者とその家族を対象とした食事支援サービス「がん患者さんとつくった ヘルスケアOisix」を開始するという。

がん治療患者のリアルな声
76%が経験する、見えにくい苦悩

「ヘルスケアOisix」の最大の特徴は、医師と管理栄養士が監修したミールキット「ヘルスケアKit Oisix」。がん治療中の身体的・精神的負担を軽減するため、調理の簡便化はもちろん、味や彩りにもこだわったメニューを提供する。

同サービス開発の裏側には、がん治療患者が抱える、ある深刻な問題があったそうだ。同社の発表によると、抗がん剤治療を受ける患者のうち、じつに76%が化学療法期間中に認知機能の低下を経験しているという。

「長時間キッチンに立つのが辛い」「手が痺れて食材がうまく掴めない」といった身体的な問題に加え、「文字が読みづらい」「複数の工程を同時進行するのが難しい」「レシピの内容が頭に入ってこない」といった、認知機能の低下による困難も報告されているそうだ。

©オイシックス・ラ・大地株式会社

小さなカードに込められた、大きな変化
見やすさ、使いやすさを追求したリニューアル

こうした患者たちの声を受け、2025年2月末に「ヘルスケアKit Oisix」のレシピカードを全面リニューアル。注目すべきは、文字サイズを約120%拡大し、視認性を大幅に向上させた点。また、同時に複数の作業がしにくい人でも負担なく効率的に調理ができるよう、調理工程をイラストでわかりやすく示したり全体の流れが直感的に把握しやすいデザインを採用するなど、随所に工夫を凝らしたつくりに。

さらに、栄養価表示を大きく見やすく配置することで、食事内容を簡単に把握できるようになった。これは、食事制限がある患者や、家族の健康管理を気遣う人にとって、非常に嬉しい配慮ではないだろうか。

「レシピカードを読むのに時間がかかっていた」「文字が小さくて見づらかった」「調理工程が複雑で混乱することがあった」……。従来のレシピカードに対する、患者やその家族からの切実な声に応える形で実現した今回のリニューアル。オイシックス・ラ・大地株式会社の顧客中心の姿勢が伺える。

「食の社会課題をビジネスの手法で解決する」という同社企業理念を体現する、画期的なサービス。がん治療患者とその家族のニーズに真摯に向き合い、より良いサービスの提供を目指し続けている姿勢の表れといえよう。

©オイシックス・ラ・大地株式会社
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Top image: © オイシックス・ラ・大地株式会社
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