髪の毛を失った患者に、自信をもってもらうための「ヘナクラウン」
日本人の死因1位でもある、がん。さまざまな治療法が開発されていますが、とくに抗がん剤を使う化学療法には、吐き気や痛み、手足の皮がむけてしまうという副作用が伴うと言います。
そして女性を苦しませることのひとつに、髪の毛が抜けてしまうこと、も挙げられるでしょう。
髪の毛の代わりに
美しいボディアートを
そこでボディアートを手がける団体「SARAHENNNA」は、抗がん剤治療の副作用で髪の毛がなくなってしまった頭皮に、美しい模様を描くプロジェクトを開始。そのペイントはまるで、王冠(クラウン)のよう。
これは天然素材のヘナを使った、消えるタトゥー。2週間程度で徐々に薄くなり消えてしまうので、タトゥー気分を気軽に味わえるものでもあります。同じようにヘナを使ったインドの伝統的タトゥー「メヘンディ」を思わせる、エキゾチックで美しい模様が目を引きます。
かつらや帽子だけではない
新しい選択肢を
このヘナアートには、どんな思いが込められているのでしょうか。スタートのきっかけや込められた思いについて、「SARAHENNNA」に聞いてみました。
「私はつねに『誰かのためになることがしたい』と思っていたんです。でもそんなとき、私の継父が多発性骨髄腫というがんの一種だと診断され、5ヶ月後に亡くなりました。私は何もできなかった自分の無力さに苛まれました。それから6年後、母にこんなことを頼まれたんです。『がんと闘っている友だちのために、頭にペイントをしてあげて欲しい』。私はようやく誰かのために役立てるということに生きがいを感じました。化学療法で髪の毛を失った人々に、このペイントを届けたい。心からそう思ったんです」
「みんなこのペイントを気に入ってくれました。まるで美容室に行って髪型を変えたときみたいに、ヘナペイントをしたあとは誰もがウキウキしているんです。かつらや帽子だけじゃない、新しい選択肢があるんだということが少しでも生きる糧になってくれればと思っています」
ほんの少しでも
前向きになってもらえれば
大きな病と闘い続けることは、並大抵のことではありません。でも、ほんのささやかでも「ヘナクラウン」のおかげで自分の見た目が変わり、前向きな気持ちになれたという患者たち。このプロジェクトは、海外でも大手メディアも取り上げるほど話題を呼んでいるようです。