迷惑をかけたくない若手と、過剰に配慮する上司。世代間の認識のズレが調査で明らかに

世代間の価値観の違いは、職場のコミュニケーションにおいてしばしば課題となる。

株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.』と金沢大学 金間研究室が共同で実施した調査は、Z世代を中心とする若手社員と40代以上の上司世代の間に存在する、仕事観の具体的なギャップを浮き彫りにした。

「仕事観」約6割の項目で世代間ギャップが判明

本調査は20代の会社員457名と40代以上の会社員480名を対象に行われたもの。

コミュニケーションや仕事の進め方、成長意識など全41項目について質問した結果、統計的に有意な差が見られた「ギャップがある項目」は24項目に上った。これは全体の約6割に相当する数字だ。一方で、17項目では世代を超えた共通の認識が持たれていることも分かっている。

この分析は、2つの集団の平均値に意味のある差があるかを判断する統計学的手法「t検定」を用いており、両世代の意識の違いが客観的なデータとして示された形だ。

・「若手と上司の仕事観ギャップ」

© 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント
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・「若手と上司の仕事観共通認識」

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「周りに迷惑をかけたくない」若手世代の価値観

調査結果を深掘りすると、若手世代の価値観には「みんなで一緒に同じくらい」「周りに迷惑かけたくない」というキーワードが浮かび上がる。

働く価値観に関する設問では、「集団の一人として見られたい(28.4%)」「出世よりもライフスタイル優先(26.9%)」といった回答が上位を占めた。インタビューでは「昇進するとプライベートがなくなるのでは」という不安の声も聞かれ、仕事より個人の生活を重視する姿勢が強いようだ。

また、「失敗は誰かに迷惑をかけるから避けたい」「同僚とはぶつからず折り合いをつけたい」といった項目で、上司世代とのギャップが顕著に。個人としての成長よりも、集団内での調和や安定を求める傾向が見られる。

『SHIBUYA109 lab.』の長田麻衣所長は、こうした傾向について、SNSを通じて事前に情報を集めてから行動する彼らの消費行動ともリンクしていると指摘した。

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若手を尊重し、時代に適応しようと努める上司世代

一方の上司世代は、若手世代の意思を尊重し、時代の変化に適応しようと努める姿勢が特徴的だった。

例えば「定時になったら退社する」「会社の飲み会は自由参加」といった項目では、若手世代以上に上司世代が賛同する結果に。インタビューからは「自分たちが知っているマナーを押し付ける時代ではない」という意識がうかがえる。

さらに、「個人のワークライフバランスやライフスタイルを尊重した働き方をさせたい」と考える上司世代は64.4%に達した。

彼らは自身が経験した昭和的な働き方を押し付けないよう、若手に対して親のように手厚くフォローする姿も印象的だったという。

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違いと共通点から生まれる新たな関係性

今回の調査では、生まれ育った時代背景や社会に出た環境が、仕事の「当たり前」に違いを生じさせていることが改めて確認された。

若手は周囲との調和を、上司は若手への配慮を重視する傾向にある。しかし、その上司世代の配慮が、時に過剰な気遣いとなり、新たな世代間ギャップを生んでいる可能性も、長田所長は示唆している。

働き方の価値観が多様化する現代において、世代間の違いだけでなく共通点にも目を向け、双方が歩み寄ることが、より良い職場環境の構築につながるのかもしれない。

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