米国のエンタメ最前線は、低予算の『ミニドラマ』。クリエイターや大手スタジオから熱い注目

短時間で手軽に楽しめるエンターテインメントが世界中で支持される今、米国でも新たなコンテンツの波が押し寄せている。

それが、低予算で制作される短尺の縦型動画コンテンツ、『ミニドラマ』だ。これまで主にアジア、特に中国で人気を博してきたこの形式が、米国市場で急速に存在感を高め、クリエイターや大手スタジオからも熱い視線が注がれている。

短時間でも十分に楽しめる展開と、収益を支える「フリーミアム」モデル

『ミニドラマ』とは、数分程度の短尺エピソードで構成され、主に専用アプリで配信される縦型形式のドラマシリーズを指す。

メロドラマ風の展開が多く、超自然的な存在、複雑な恋愛関係、そして富豪が頻繁に登場する物語が特徴的である。これらの作品は、限られた予算で制作されながらも、視聴者の関心を引きつける刺激的なストーリー展開が魅力らしい。

市場調査会社のAppfiguresによると、米国ではすでに215もの『ミニドラマ』専用アプリが存在し、中でも『ReelShort』、DramaBox、FlexTVが市場を牽引している。この分野の収益は過去1年間で倍増し、月間1億ドル(約150億円)を超える規模に達したという。

その収益を支えるのが「フリーミアム」モデルだ。

最初の数話は無料で視聴できるが、続きを見るためには週に5ドルから10ドル程度の料金を支払う仕組みを採用している。

大手スタジオも注目

かつて、高予算で制作された短尺ドラマシリーズが米国市場で成功しなかったことを考えると、『ミニドラマ』の台頭は注目に値する。

従来のスタジオやストリーミングサービスが予算を引き締める中、仕事の機会を求める多くの脚本家、監督、俳優、そして制作スタッフにとって、この『ミニドラマ』が新たな活躍の場を提供している側面も考えられる。

米国のエンターテインメント業界では、TelevisaUnivisionが40作品の開発を進めるなど、Lionsgate、A&E、Hallmarkといった大手スタジオも独自版の制作や検討に乗り出しているようだ。

また、Select Management Groupのようなインフルエンサーのタレントマネジメント企業も、『ミニドラマ』に出演する俳優の発掘に力を入れ、デジタルコンテンツ分野の次世代スターを生み出す動きが活発化している。

人気の動画プラットフォームであるTikTokも、2023年11月時点ですでにこのフォーマットのテストを開始していると報じられた。

Z世代の一部や中年の女性層を中心に人気を集めるこの潮流が、エンターテインメント業界にどのような変化をもたらすのか、今後の動向が注目される。

Top image: © iStock.com / Worawee Meepian
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