腸内健康の新トレンド「ファイバーレイヤリング」って、なんだ?

ここ1年、SNSでは「ファイバーマックス(fibremaxxing)」と呼ばれる食物繊維を大量に摂取する健康トレンドが広がってきた。

しかし栄養専門家の間では、より穏やかな方法として「ファイバーレイヤリング(fibrelayering)」という新しい考え方が注目され始めているようだ。

ファイバーマックスは短期間で大量の食物繊維を摂取するスタイルを指すが、急激に摂取量を増やすと、膨満感や便秘、下痢などの消化器トラブルを引き起こす可能性があると指摘されている。

そこで提案されているのが、食事や間食に分散して少しずつ食物繊維を取り入れる「ゆっくり増やす」戦略だ。

この概念は、食事宅配ブランドMindful Chefの栄養士でヘルス責任者を務めるSasha Watkins氏が提唱したもので、量よりも多様性を重視する点が特徴だという。

食物繊維は3種類 多様性が腸内環境の鍵

食物繊維には主に3種類が存在する。

水溶性食物繊維は水に溶けてゲル状になり、腸内をゆっくり移動する。これにより便秘予防や血糖値の安定、コレステロール低下に役立つとされる。オートミール、豆類、リンゴ、サツマイモ、亜麻仁などに多く含まれる。

不溶性食物繊維は水に溶けず、腸内を通過しながら便の量を増やす役割を持つ。排便を促進し、腸内細菌のエサにもなる。全粒穀物、アーモンド、チアシード、多くの野菜や果物に含まれている。

さらに**レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)**は小腸では消化されず、大腸で発酵して善玉菌の栄養源になる。冷ました米やジャガイモ、豆類、青いバナナ、トウモロコシなどが代表例だ。

Watkins氏は「異なる食物繊維は異なる腸内微生物を育てる。多様な腸内細菌ほど長期的な健康と関連する」と説明している。

量より“種類”を増やす食事スタイル

ファイバーレイヤリングの核心は、1回の食事で大量の繊維を摂ることではない。代わりに、さまざまな植物性食品を組み合わせて繊維の種類を増やす点に重点が置かれている。

腸内健康の専門家は以前から、週に30種類の植物を食べることで1日約30gの食物繊維を摂取しやすくなると提案してきた。最近の研究でも、異なる種類の繊維が腸内細菌の活動に多様な変化をもたらす可能性が示されているという。

野菜、全粒穀物、豆類、ナッツ、種子など多様な植物を食事に取り入れることで、より豊かな腸内マイクロバイオームを支える効果が期待されるらしい。

植物性食品ブランドにとって大きな機会

食物繊維が注目される背景には、その幅広い健康効果がある。腸内環境の改善だけでなく、体重管理、血糖値のコントロール、コレステロール低下などにも関係すると考えられている。

また満腹感を高める働きがあるため、肥満、Type 2 Diabetes、脳卒中、心疾患、さらには一部のがんのリスク低下とも関連が指摘されている。

しかし現実には、多くの人が推奨量に達していない。米国や英国では約95%の人が食物繊維不足とされる。こうした状況の中、腸内健康アプリZoeやSNSの影響で、食物繊維への関心は急速に高まっている。

さらに、減量薬の普及もこの栄養素への注目を後押ししている可能性がある。食物繊維が体内のGLP-1反応を刺激する食品として認識されているためだ。

こうした流れの中、植物性食品ブランドにとっては大きなビジネスチャンスが生まれている。動物性食品にはほとんど食物繊維が含まれないため、繊維を増やすには植物性食品を取り入れる必要があるからだ。

例えばOatlyは、タンパク質ではなく食物繊維を強調するマーケティング戦略を打ち出している。製品が食物繊維摂取を「重ねて増やす」食生活に役立つことを示せれば、ブランド価値の向上にもつながる可能性がある。

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