読書離れの時代に再注目される“仕掛け本”ミステリがZ世代で再評価。泡坂妻夫「ヨギ ガンジー」シリーズ累計45万部
「読書離れ」が指摘されるなか、紙の本ならではの体験性を前面に打ち出したミステリ作品が若い世代から再評価を受けている。
直木賞作家泡坂妻夫による「ヨギ ガンジー」シリーズは、近年Z世代を中心に読者が増え、シリーズ累計発行部数は45万部を突破したという。
代表作であるしあわせの書―迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術―と生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術は、1980年代から1990年代にかけて刊行された作品だが、SNSをきっかけに話題が広がり、若年層の購入が増えているようだ。

「読む行為」そのものをトリックに
このシリーズが再び注目を集めている理由は、紙の書籍ならではの大胆な仕掛けにある。
特に『生者と死者』は袋とじ製本が採用されており、最初は袋とじのまま読むことで「消える短編小説」を体験できる構造になっている。
読者がページを切り開くと短編は消え、まったく別の長編ミステリが現れるという仕組みで、作品そのものが一種のトリックとして機能する。
読むという行為を物理的な仕掛けに結びつけた構成は、刊行当時から「前代未聞の仕掛け本」として話題を呼んだとされる。


マジシャン作家が生んだ異色の名探偵
作者の泡坂は推理作家であると同時にマジシャンとしても知られ、創作奇術で石田天海賞を受賞した経歴を持つ人物だ。
1976年に作家デビューし、1990年には『蔭桔梗』で直木三十五賞を受賞している。
シリーズの主人公ヨギ・ガンジーは、ドイツ人・ミクロネシア人・大阪人の血を引くという奇抜な設定の探偵で、催眠術や読心術など超常現象のように見える事件の謎を解き明かしていく。
こうした奇術的発想とミステリを融合させた作風は、紙の本だから成立する体験型の読書として、刊行から数十年を経た現在でも新鮮な驚きを与えているのかもしれない。
『生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術』

【タイトル】生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術
【著者名】泡坂妻夫
【発売日】1994年10月26日
【定価】737円(税込)
【ISBN】978-4-10-144506-9
『ヨギ ガンジーの妖術』

【タイトル】ヨギ ガンジーの妖術
【著者名】泡坂妻夫
【発売日】1987年1月27日
【定価】649円(税込) ※現在、電子書籍のみのお取扱いです。
【ISBN】978-4-10-144502-1






