婚活仲介の費用が「26%急騰」それでも人が殺到する理由

マッチングアプリに疲れた人々が、いま再び「人の手」による婚活仲介に戻り始めています。米DateSpot Inc.が2026年4月に発表したプレスリリースによると、パーソナルマッチメイキングの平均費用は前年比26%も上昇。それでも需要は衰えるどころか、加速しているというのです。

アプリ離れが加速する背景

DateSpotの調査データによれば、マッチメイキングサービスの平均費用は2025年1月から2026年1月にかけて26%上昇しました。同期間の米国インフレ率が2.4%であることを踏まえると、その伸びは異常ともいえる水準です。

費用高騰の背景には、設立3年未満の新興マッチメイキング企業が69%も増加したことがあるといいます。新規参入が相次ぎ、データベースやサービスの拡充に投資が集中した結果、業界全体の価格が押し上げられた格好です。既存企業も同期間に平均15%の値上げを実施しており、現在の一般的なマッチメイキング費用は1万ドルから5万ドル(約150万〜750万円)の範囲に達しています。しかも、多くの企業は標準化された料金を公開しておらず、ケースバイケースで金額を調整しているとのこと。利用者にとっては、比較検討すら難しい状況が続いています。

では、なぜこれほど高額にもかかわらず需要が伸びているのでしょうか。その答えのひとつは、マッチングアプリ市場の変調にありそうです。モバイル計測プラットフォームAdjustが発表した「State of Dating Apps」レポートによると、2025年のマッチングアプリのセッション数は前年比7%減少しました。Tinder、Bumble、Hingeといった主要アプリは月額30〜50ドルの有料サブスクリプション層を拡大し、プロフィールの可視性やフィルタリングといった主要機能を課金の壁の向こう側に移しています。AIによる自動化がプロフィール生成やマッチ推薦の効率を高めた一方で、体験がどこか画一的で「人間味がない」と感じるユーザーが増えているのかもしれません。

人間にしかできない「目利き」

高級マッチメイキングサービスLinx DatingのAmy Andersen氏は、クライアントが人間のマッチメーカーならではの「洞察力、感情的知性、説明責任、そして現実世界での判断力」を求めていると語っています。アルゴリズムでは拾いきれない微妙なニュアンスや相性の機微を、経験豊富な仲介者が見極める。この「目利き」の価値が、デジタル疲れの時代にあらためて見直されているわけです。

こうした流れは、日本でも無縁ではありません。リクルートブライダル総研の「婚活実態調査」によれば、2023年に結婚した人のうち婚活サービス経由の割合は15.3%に達しました。ネット系婚活サービス経由は過去最高の11.4%を記録する一方で、結婚相談所の存在感も依然として大きいのが実情です。日本最大級の結婚相談所ネットワークを運営するIBJが公表した「成婚白書2024」では、2024年の成婚組数が16,398組と過去最多を更新。これは同年の日本の婚姻件数(厚生労働省の人口動態統計によると約48万5,000組)の約3.3%に相当します。仲人型サービスが着実に成果を出している証左といえるでしょう。

「成果報酬型」という第三の選択肢

こうした市場環境のなかで注目を集めているのが、DateSpotが提唱する成果報酬型(ペイ・パー・マッチ)モデルです。同社のサービスでは、まず299ドルの45分間ビデオコンサルテーションからスタート。少なくとも10人の候補が事前に特定された場合に受け入れられ、4カ月間のプロアクティブな検索が始まります。料金は相互承認されたマッチ1件につき899ドル。競合のTawkifyなどが採用するブラインドデート型とは異なり、複数の写真を含む詳細なプロフィールに基づいて事前審査された相性を重視する仕組みです。

DateSpot創業者のCarla Guarnay氏は「マッチメイキングは富裕層だけのものであるべきではない」と述べ、スケールによる低価格化を目標に掲げています。同社は過去1年間で登録者数が3倍に増加したとのこと。

従来の高額マッチメイキングと、完全自動化されたマッチングアプリの間に、もうひとつの選択肢が生まれつつあります。「人の手」と「テクノロジー」のちょうどいいバランスを探る動きは、婚活だけでなく、あらゆるサービス領域で今後ますます広がっていくのではないでしょうか。大切なのは、自分にとっての「ちょうどいい介在」を見つけること。効率一辺倒でもなく、高額な丸投げでもない、その中間にこそ新しい価値が眠っているように思えます。

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