芝を刈るだけじゃない。AI芝刈り機が庭の安全まで担う理由

MOVAが、調査会社Frost & Sullivanにより、AI両眼ビジョン搭載ロボット芝刈り機の販売台数で世界第1位に認定されました。累計出荷30万台、欧州シェア推定25%という数字の裏には、「芝を刈る機械」の概念そのものを塗り替える技術思想が見え隠れしています。

「目」を持った芝刈り機の衝撃

MOVAの主力製品であるViAXシリーズが搭載するのは、同社独自のUltraEyes™ 1.0というAI両眼ビジョンシステムです。2基のUltra-HDR AIカメラと高度なAIアルゴリズムを組み合わせ、最大50メートル先まで検知し、120°×70°の広い視野角で庭全体を立体的に把握します。

AI駆動の3Dセンシングによって、芝生の境界を自動認識し、芝生と非芝生エリアを識別。庭のマッピングまで自律的にこなすとのこと。さらに注目すべきは、300種類以上の障害物をリアルタイムで認識・回避できるUltra-Smart AI Obstacle Avoidance機能でしょう。衛星信号が届きにくい樹木の下や軒先付近でも、ビジョンシステムが安定した位置測定を維持するため、GPSに頼り切らない自律走行が可能になっています。

この技術的アプローチは、屋内のロボット掃除機が辿ってきた進化の道筋と重なります。かつてランダム走行だったロボット掃除機は、LiDARやカメラを搭載して間取りを理解するようになり、いまでは見守りカメラとしての機能まで備えるモデルが珍しくありません。同じ進化が、いよいよ屋外の庭空間でも本格的に始まったと言えるのではないでしょうか。

ペットも子どもも「守る」設計思想

実際の庭は、整然としたテスト環境とはまるで違います。走り回るペット、遊ぶ子ども、放置されたおもちゃや園芸用品──そうした予測不能な要素が常に存在する空間です。

ViAXシリーズが興味深いのは、こうした「生活のリアル」に正面から向き合っている点にあります。ペットのいる家庭向けに設計されたAnimal Friendly Modeでは、AI認識と文脈に応じた安全対策を組み合わせ、低速安全モードやカスタマイズ可能なAnimal Activityゾーンを提供。動物に時間的・空間的な余裕を与えるDo Not Disturbモードまで備えています。

単に「ぶつからない」のではなく、「動物の行動パターンを尊重する」という発想。ここに、従来の家事ロボットとは一線を画す設計哲学が感じられます。

芝刈り機が「庭のセンサー」になる

さらに目を引くのが、TrueGuard™と呼ばれる機能です。庭のリアルタイムビデオ監視、作業時間外のパトロール設定、人の活動を検知した際の通知──これはもはや芝刈り機の機能ではなく、屋外セキュリティシステムそのものでしょう。

もちろん、カメラ付きデバイスが庭を巡回するとなれば、プライバシーへの懸念は避けられません。MOVAはこの点について、ドイツの第三者認証機関TÜV Rheinlandによるデータ保護認証を取得済みとしています。欧州市場で高いシェアを獲得している背景には、GDPRをはじめとする厳格なデータ保護規制への対応が信頼につながっている面もありそうです。

実際、同社の発表によれば、2026年3月時点で欧州主要市場のロボット芝刈り機分野において推定25%のシェアを獲得し第1位を記録。ViAXシリーズはドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、スペインなど複数の欧州市場でAmazonベストセラーランキング1位を獲得したとのことです。

家事自動化の「次フェーズ」とは

家事の自動化は長らく「人間の代わりに作業をこなす」ことが目標でした。しかし、MOVAの事例が示唆しているのは、その先にある「空間の知能化」という次のフェーズです。

ロボットが環境を理解し、文脈に応じた判断を行い、作業だけでなく安全管理や監視まで担う。芝刈り機が庭の「インテリジェントなセンサーポイント」として機能するという同社のビジョンは、スマートホームの概念が屋外へと拡張していく未来を予感させます。

庭のある暮らしを楽しみたいけれど、管理の手間や安全面が気になる──そんな生活者にとって、「芝を刈りながら庭を見守ってくれる存在」は、思った以上に心強い選択肢になるかもしれません。

©MOVA
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