24兆円市場が生んだ新習慣「犬用シャルキュトリー」から始まるペットパーティー最前線
米国のセレブリティ・イベントプランナー「The Party Goddess!」と、ペット向け自然派フードブランド「Marcy's Pet Kitchen」が共同で、ペットのためのパーティーガイドを無料公開しました。その中身がなかなか衝撃的——犬用の「シャルキュトリーボード」に、ノンアルカクテル、おそろいパジャマでの映画鑑賞会まで。ペットパーティーの世界が、想像以上に本気です。
「バーキュテリエ」とは何か
ガイドの目玉として紹介されているのが、「バーキュテリエ・ボード(Barkuterie Board)」。これは、人間のパーティーでおなじみのシャルキュトリーボード(チーズや生ハムなどを美しく盛り合わせたプレート)を、犬が安全に食べられる食材でアレンジしたものです。
「Bark(犬の鳴き声)」と「Charcuterie(シャルキュトリー)」を掛け合わせた造語で、見た目の華やかさはそのままに、ペットの健康にも配慮されています。SNS上では、この「バーキュテリエ」を囲む犬たちの写真や動画がすでに数多くシェアされており、ひとつのジャンルとして定着しつつあるようです。
ほかにも、犬が安全に楽しめるノンアルコールドリンク「ドギー・モクテル」を振る舞う「ヤッピー・アワー(Yappy Hour)」、犬のための運動会「ドギー・オリンピック」、ペットとオーナーがおそろいのパジャマを着て映画を観る「パジャマ・パーティー(Pawjama Party)」など、5つのアイデアが紹介されています。どれも、人間のパーティー文化をペット向けに「翻訳」したような企画ばかり。
24兆円市場が映す価値観の変化
こうしたトレンドの背景には、ペット産業そのものの急拡大があります。米国ペット用品協会(APPA)の予測によれば、2026年のアメリカにおけるペット関連支出は1,650億ドル(約24兆円超)を超える見通しとのこと。
かつてペットへの支出といえば、フードや医療費といった「必需品」が中心でした。しかし近年は、体験型の消費——つまり「一緒に何かを楽しむ」ことにお金をかける傾向が顕著になっています。Morgan Stanleyのリサーチでも、特にミレニアル世代やZ世代のペットオーナーがこの傾向を牽引していると指摘されています。
InstagramやTikTokでは、ラグジュアリーなペットライフスタイルを発信するアカウントが急増中。ペットとの暮らしを「見せる」こと自体が、自己表現の一部になっているのかもしれません。
「映え」と「安全」の両立という課題
華やかなペットパーティーには、もうひとつ大切な視点があります。それは、ペットにとっての安全性です。
Marcy's Pet Kitchenの創業者マーシー・ペレグリーノ氏は、「ペットのお祝いは目的意識を持ち、ペットにとって安全であるべき」と強調しています。同ガイドには、ペットに安全な食材の推奨リストや水分補給の提案も含まれており、「スタイリッシュでありながら、動物の健康に配慮することは両立できる」と同氏は語っています。
一方、The Party Goddess!の創業者マーリー・マジャー氏は「洗練されていてユーモラスで、ビジュアル的にも美しく、かつ実際に実行可能なものを作りたかった」とコメント。見栄えだけでなく、再現性の高さにもこだわったといいます。
SNS映えを追求するあまり、ペットにとって危険な食材やデコレーションを使ってしまうケースは、実際に起こりうるリスクです。だからこそ、「映え」と「安全」を最初からセットで提案するこのガイドのアプローチには、意味があるのではないでしょうか。
ペットは「飼う」から「共に祝う」存在へ
バーキュテリーボードを囲み、モクテルで乾杯し、おそろいのパジャマで映画を観る。少し前なら冗談に聞こえたかもしれないこうした光景が、いま現実のトレンドとして広がっています。
ペットを「飼育する対象」ではなく「一緒に人生を楽しむ家族」として捉える感覚は、日本でも確実に浸透しつつあります。愛犬の誕生日にケーキを用意する飼い主は、もはや珍しくありません。その延長線上に、バーキュテリーボードのある週末が来る日も、そう遠くはなさそうです。






